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無理して答えを出さなくていい

禅語「狗子仏性(くしぶっしょう)

禅の代表的な公案のひとつに、この「狗子仏性」があります。あるとき弟子の僧が趙州禅師に「犬にも仏性があるか、それともないか」と尋ねました。趙州禅師は「無」と答えました。仏教では「すべてのものに仏性がある」としています。ですから、この答えは、表面だけ見れば正反対。しかし、これは「無い」ということではありません。かといって「有る」でもない。有無を超えたところにあるのが趙州禅師の答えの本意でしょう。有るか無いかを考えるから、判断がはたらく。そんな判断をすること自体がとらわれていることに他ならない。「判断など手放してしまいなさい」という教えと解釈することもできます。いくら考えてもわからないのだとしたら、いつまでも考えることに執着せず、すっと悟れる機会に巡り合うまで放っておく。それもひとつの方法です。無理して出した答えは、所詮、その程度のもの。ときに、わかるときが来るまで放っておくという選択も大切なのです。

心をととのえるスヌーピー 悩みが消えていく禅の言葉

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次の話を読む「チャーリー・ブラウン、人生にはのまなきゃならない苦い薬もあるんだ」悩みが消える『ピーナッツ』の言葉

2023.06.02(金)
著者=チャールズ・M・シュルツ
監修=枡野 俊明
翻訳=谷川 俊太郎