いろいろな角度から考えて、「これはこんな切り口からこう見るとステキよ」と取り上げて、読んでる人に生ツバを飲ませる。

 あのね、私いいことを思いついたんですよ。

 先日、すでに調理して真空パックになっているアジの開き、という珍しいものを頂いたんです。これが頭からしっぽまですべて食べられるという代物。確かに、中骨も鮭の骨みたいにサクサク食べられて、最後に残るのは二つの固い眼玉だけなんです。食べ終わった感想は、

「うん、アジの開きの頭と骨は、別に食わなくてもいいな」

 ということでしたけどね。いや、うまいことはうまいんです。でも、食べ終わった後の皿の絵柄的にも、平凡な一日の朝ごはんにはそぐわないというか。

 うちの奥さんは、「避難所で食べるのにいい」と言ってました。

 きっと日本全国にこういう不思議な食べ物がいっぱいあるんだろうな、と思うんです。

 NHKの大河ドラマ制作チームのところには、全国から郷土の英雄を取り上げてほしいという陳情が押し寄せて来るんだそうですね。家康でも信長でもない、ワケわかんない人物でも、大河ドラマにすれば面白くなるはずだ、ということで。

 東海林先生は、この大河のプロデューサーみたいなものだと思うんです。うまくも何ともない、ワケのわからない食べ物でも、先生が書けば思わず食べたくなる。

 だから、全国のみなさん、ぜひ東海林先生に取り上げてほしい特産物を売り込んだらどうでしょう。

 きっと売れますよ!

2023.05.03(水)
文=春風亭 一之輔(落語家)