デリバリーを頼むとサボってるなと思う(笑)
――取材の前日に誕生日を迎えられました。33歳になった感慨は?
恐ろしいほどないですね(笑)。もっと大人にならなきゃなって思ってます。
――黒木さんが思う大人とは?
私の大人のイメージは、酔っ払って寝落ちしないこと(笑)。最近お酒が弱くなって、寝落ちすることが多くなっちゃいました。
――とはいえ、映画デビューして10年以上。東京暮らしも長くなり、都会で暮らす自立した女性として、たくましくなったと思うこともあるのでは?
そうですね。大概のことは一人でできますし、車を運転するようになったことで、行動範囲も広がりました。
コロナ禍になる前はロンドンに一人旅をしたことも。自分でできることが増えた分、やらなければいけないことも増えたし、自分で取らなければいけない責任も増えたなと感じます。
――できることが増えた一方で、東京に染まってしまったな、と思うことは?
デリバリーを使っている時に、ちょっとダメだなみたいに思うことはあります。罪悪感があるんですよね。もちろん東京以外にもあるけれど、東京は特に物がいっぱいあふれていて、欲しいと思ったらなんでもすぐに手にる。その環境に染まってしまって、サボっている感じがしちゃうんです。
――とはいえ、ヘルシーなものを頼んでいそうですが……。
そんなことないです! ラーメンとかを頼んだりもしますよ、たまには。
――黒木さんは料理好きというイメージもありますが。
料理はすごく好きですね。玄米が好きなので玄米ご飯を炊いたり、おかずを何品か作り置きしておくことも。時間に余裕ができると、自分で作らなきゃって思います。ただ、本当にストレスが溜まっていたり疲れていると、いっぱい食べちゃうんですよね。そこでうっかりデリバリーを頼んだりすると、やっぱり体がだるくなってしまって。
――映画の中ではおきくがおにぎりを作るシーンもありました。料理上手の黒木さんのとっておきのレシピを知りたいです。
おにぎりで言うと、すごくハマっているレシピがあって。ご飯に刻んだ生姜とゴマをたくさん入れて、塩と混ぜ込むんです。それを薄焼き卵で巻くだけなんですが、すごく美味しくて。現場に作って持って行くこともあります。簡単にできるのでぜひ作ってみてください。
――デリバリーに罪悪感を抱くのも納得しました。毎日の生活を丁寧に積み重ねているんですね。
心がけているのは健康第一の生活習慣。ちゃんとお風呂に浸かって、しっかり睡眠をとって、代謝を上げるために白湯を飲む……。当たり前のことだけど、そういうちょっとしたことの積み重ねで、体だけでなく心も安定する気がしています。
あとはルールを決めないこと。絶対に自炊をすると決めていても、やっぱりできないこともあるじゃないですか。そういう時はお惣菜を買うことだってあるし、たまにはデリバリーも頼む。できなかった自分を責めすぎないようにしようと思っています。
黒木 華(くろき・はる)
1990年3月14日生まれ、大阪府出身。2010年にNODA・MAP番外公演『表にでろいっ!』でデビュー。2011年には『東京オアシス』で映画に初出演した。主な出演作は映画『先生、私の隣に座っていただけませんか?』、『余命10年』、『イチケイのカラス』、『#マンホール』など。『ヴィレッジ』は4月21日公開。
映画『せかいのおきく』
2023年4月28日(金) 全国ロードショー
監督・脚本:阪本順治
企画・プロデューサー:原田満生
出演:黒木 華、寛一郎、池松壮亮、眞木蔵人、佐藤浩市、石橋蓮司
22歳のおきく(黒木 華)は、武家育ちでありながら、今は貧乏長屋で父(佐藤浩市)と二人暮らし。寺子屋で子供たちに読み書きを教えている彼女は、糞尿を売り買いする最下層の仕事に就く中次(寛一郎)と矢亮(池松壮亮)と出会い、やがて心を通わせていく。ところがおきくは、ある悲惨な出来事に巻き込まれ、喉を切られて声を失ってしまう……。
2023.04.24(月)
文=松山 梢
撮影=佐藤 亘
スタイリスト=梅山弘子(KiKi inc.)
ヘアメイク=新井克英(e.a.t...)