うちの子ベストショット②「シンクロ率100%」
――迎え入れる時期が異なっても、同居はうまくいくものですか?
大人になって顔を合わせるのでなければ大丈夫なのかなと。人間も急に変なおっさんが同居するってなると嫌やなぁと思うでしょうけど、赤ちゃんやとみんな、かわいがるじゃないですか。
それと一緒で、猫も相手が子猫やったら敵やと思わないし、可愛がってくれたので問題なかったですね。
ただ、個体差はあります。3匹の中でいちばん野性味があるのは銀杏。逆にクリキントンはおとなしいタイプなので、(ちょっかいをかけられた)クリキントンが銀杏に向かってシャー! ってやってるのはよう見ますね。
で、チョビ麿はデレの少ないツンデレでいちばん猫らしい性格。家族の中で順位をつけてるみたいですけど、嫁にいちばん懐いてます。誰にでも甘えるのは、クリキントン。(宅配物を持ってきた)佐川急便の人にも甘えてます(笑)。
――猫との暮らしの中で、今どんなことを感じていますか。
日々、楽しいんですけれど、長いスパンで見てみた時に――さっきも話したように、子供が生まれる前から猫が家にいたので――子供といる期間より猫と一緒にいる期間のほうが長くて。
猫だけの時期、子供が生まれてからの時期を経て、今年の春で子供が高校3年生と中学1年生になって親の手がかからない時期に入ったんです。子供たちは自分の部屋で勉強したり、友達と電話したり、スマホを見たりして、親が構わなくてもよくなったのが今なんです。
子供が小さい頃はやっぱり子供にかかりっきりだったけれど、猫はそうだった時期もずっと同じ愛情を僕たちに注いでくれていたのかなと思うと……あぁ! ごめん! そして愛おしい! ってなっちゃって。これは人間のエゴかもしれないですけど、そう思っている今、より猫たちをかわいがるようになりましたね。
――年月が経ったからこその発見だったんですね。話しかけたりはしますか?
ずっと喋ってますよ。クリキントンはずっと顔を見ながら、あお~んってよく鳴くんです。けれど、何を言ってるかわからへんから、「なんなの? ご飯はあげてるでしょ?……トイレ掃除もしましたよ?……もう1回なでてほしいの?……なでたよ? え、まだ鳴くの?」って。
僕1人で猫といる時はずーーーっとこんな感じです(笑)。ほかの2匹は明確に何かを要求する時に鳴くんですよ。ご飯がほしい、トイレを掃除してほしい、水がほしい、かわいがってほしいっていうどれかなんですけど、クリキントンだけはそうじゃない時もずっと喋ってます。あれ、何を言うてるんか、ほんまに知りたいですね。
2023.04.22(土)
文=高本亜紀
撮影=佐藤 亘
写真=原西孝幸