あれもこれもと欲張らない、「ちょっと大人」の京都
――「ちょっと大人」というタイトルが入りましたが、どのへんが「大人」になるのでしょうか。
伊藤 年齢も40歳を超えて、あれもこれもと欲張るのではなく、1日かけて1カ所で過ごしたり、贅沢な過ごし方ができるようになりました。何度も通ううちに京都の流儀みたいなものも感じとることができるようになって、京都の人たちとの距離の取り方、間合いに馴れてきたように感じます。
――オオヤさんの紹介は別にして、ほかはすべて伊藤さんがご自身で見つけた好きな場所を選んでいますよね。また、通い慣れていないと踏み込めないようなところに行かれてます。
伊藤 厨房を覗かせていただいたりしていますが、京都は、ちょっと距離があるように感じても一歩懐に入ってしまえば、すごく人びとが温かいなと感じます。それと、担当編集者が私の考えを尊重してくれるのが大きいですね。でないと、マンガミュージアムで1日過ごすなんて提案、なかなかできないかもしれません。
――「京都」が受け入れてくれるのは、伊藤さんが書くことへの責任感を強く持っていらっしゃるからではないでしょうか。
伊藤 町中で、今でも前作の黄色い本をもって歩いている人を見ると、いい加減な提案はできないと思います。今回も面白くするためにどんどん欲が出てきて、レイアウトを何度も変え、写真を変え、担当者は大変だったと思います。
<次のページ> 1年を通しての取材、着物や浴衣で歩いたことも
2013.11.20(水)