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空き家をリノベーションした「味な店」が続々オープン

 山口県長門市は鶏肉の一大産地で、人口1万人あたりの焼鳥店舗数が日本トップクラスを誇る“焼鳥のまち”。「さくら食堂」は、朝挽きの新鮮な長州どりを使った焼鳥が人気です。長州どりは、平飼いで、地元産の飼料米やハーブを与え平飼いで育てられる地元の銘柄鶏で、適度に弾力のある肉質と、コクのあるまろやかな味わいが特徴。焼いても煮てもおいしい鶏です。

 長門の焼鳥の特徴は、塩が基本。ねぎまは長ねぎではなく玉ねぎを使い、生キャベツを添えるのが長門スタイル。テーブルには、ガーリックパウダーと一味・七味唐辛子が置かれ(店にもよる)、好みに応じてかけていただきます。

 炭火で丁寧に焼き上げる焼鳥のほか、仙崎港に揚がる魚介や山口県産の日本酒も楽しみ。例えば、「平太郎(オキヒイラギ)」という平べったい小魚は、この地域の冬の味覚だそうで、身は意外にふわっとして骨まで柔らかく、炙って食べると最高です。

さくら食堂

所在地 山口県長門市深川湯本1272-6
電話番号 0837-25-3660
営業時間 11:00~14:00 L.O.、17:00~21:30 L.O.
定休日 木曜
Instagram @_sakurashokudou_

 もとは薬局だったという建物をリノベーションしたという、長門市初のクラフトビールの醸造所「365+1BEER(サンロクロクビール)」。しっかりとホップの香りが感じられるシグニチャーの「ペールエール」のほか、甘酢っぱい「おとずれベルジャンホワイト」、フルーティーな「山・川・ヘイジー(HAZY IPA)」など、地元にちなんだネーミングのビールが5~6種類つくられています。

 醸造がメインですが、店内にはタップルームも併設され、週末限定で出来たてのクラフトビールを味わうことが可能。瓶ビールは、「さくら食堂」など近隣のお店や温泉旅館、立ち寄り湯の「恩湯」でも飲むことができます。

 「風呂上がりの一杯として、気軽に味わってもらえたらうれしい」と、オーナーの有賀さん。「ブランド名の「365+1」には、長門に住む人たちの毎日と、旅行者の特別な一日、そのどちらの場面でも愛されるビールでありたいという願いが込められています。

365+1BEER(サンロクロクビール)

所在地 山口県長門市深川湯本1247-2 
営業時間 金曜 15:00~19:00、土曜 13:00~19:00 ※ともに冬季以外は~21:00
定休日 不定休
Instagram @sanrokuroku_beer

 もとは分校だった建物を移築し、温泉旅館の社員寮として使われたという築70年超の木造2階建て。そのリノベーションを担当したオーナー(一級建築士の木村大吾さん)の名前から、「だいご長屋」と呼ばれる建物の1階が「瓦そば 柳屋」です。
 
 看板メニューはもちろん、山口名物「瓦そば」。熱々に熱した瓦の上に茶そば、錦糸卵、甘辛い牛肉を重ね、長門ねぎをのせ、レモン、もみじおろしで味変しながら、さっぱりとした味わいのめんつゆで食べる、この地独特の郷土料理です。最後、香ばしくパリパリになった麺もオツな味。

 建物の裏手にはウッドデッキもあり、オープンエアでの食事も可能。JR美祢線の線路もすぐそばなので、タイミングがよければ木立の向こうを走るかわいい電車も見られます。テイクアウトの窓口では、みたらし団子やアイスキャンディー、香ばしいほうじ茶なども販売しています。

瓦そば 柳屋

所在地 山口県長門市深川湯本1325-1 だいご長屋1F
電話番号 080-9185-3070
営業時間 11:00~18:30 L.O.
定休日 火曜・第3水曜
https://kawarasoba.co.jp/

 「だいご長屋」の2階は、昼間はケーキとセンスのいいプロダクトを提供する「Cafe and shop Tre(トゥレ)」、夜はオーセンティックバー「THE BAR NAGATO」。昼と夜、まったく違う表情を見せるところも、この建物の魅力です。

 シェイカーを降るのは、大阪の北新地で活躍していたバーテンダーの黒田大介さん。バー初心者でも自然にリラックスしてしまう穏やかで親しみやすい接客に、ついついお酒が進みます。旬のフルーツを使ったカクテル、ノンアルコールカクテルも作ってくださるので、遠慮なく相談して。

 カウンターに陣取って黒田さんとの会話を楽しむのもよし、窓辺の席でライトアップされた川を眺めながら、仲間とゆっくり語らうひとときも、きっと忘れられない思い出になるでしょう。

THE BAR NAGATO

所在地 山口県長門市深川湯本1325-1 だいご長屋2F
電話番号 070-4426-8169
営業時間 18:00~24:00
定休日 月曜
https://yumotoonsen.com/food/the-bar-nagato/

2023.02.07(火)
文=伊藤由起
撮影=榎本麻美