この記事の連載

歴史ある温泉街に新風を呼ぶ湯宿「界 長門」で江戸の武家文化に憩う

 長門湯本温泉は、山口県最古の温泉であり、江戸時代は歴代藩主も湯治に訪れていた場所。そんな武家文化の香りをいまに蘇らせたのが、ラグジュアリーな現代湯治の宿「界 長門」です。藩主が参勤交代のときに休む場所「御茶屋屋敷」をコンセプトにしたシックな佇まいが、古き良き温泉街にしっくりとなじんでいます。

 温泉街に面した屋敷門(あけぼの門)、その隣には宿泊者以外も利用できる「あけぼのカフェ」があり、1枚ずつ手焼きしているどら焼きやカフェラテなどのドリンクを販売。目の前の音信川に設えられた川床テラスや、川沿いのベンチでいただくのがおすすめです。

 プライベートが保てる半個室の食事処でいただく夕食は、地元の旬の素材をふんだんに盛り込んだ特別会席。三方を海に囲まれた山口県は、各港に新鮮な魚介が揚がり、温暖なエリアでは、ゆずきちなどの柑橘類が豊富です。

 この時期の出色は、甘みが強く肉厚で柔らかいイカと、魚の王様とも言えるフグ。萩焼をはじめとする品のいい器が、より料理を引き立てます。

 メインとなる「台の物」は、ふぐと牛の源平鍋。名産のみかんもさっと煮ていただきます。最初は「鍋にみかん!?」と驚きますが、爽やかな甘みと酸味で肉や魚の旨味がぐっと際立ち、自宅でも真似したくなるレベル。特製のみかん果汁入りポン酢、みかん胡椒で味変するのも楽しいです。

 客室は、各藩の藩主が宿泊した部屋をイメージしたご当地部屋「長門五彩の間」。寝室は1段高くなっており、徳地和紙のヘッドボードに高貴な雰囲気が漂います。

 ちなみに「五彩」とは、客室を彩る5つの要素(徳地和紙、萩焼、萩ガラス、大内塗、窓から見える四季折々の景色)のこと。段違いになっている床の間には、古くから茶人に愛されてきたやきもの「萩焼」が飾られています。

界 長門

所在地 山口県長門市深川湯本2229-1
電話番号 050-3134-8092(界予約センター)
宿泊料金 1泊2食 25,000円~
https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kainagato/

 そぞろ歩きが楽しい“オソト天国”長門湯本温泉は、できれば連泊して楽しむのが理想的。次回は、進化する老舗の宿へご案内します。

次の話を読む【山口県長門湯本温泉を往く】 温泉文化を牽引する名旅館で 五感を解き放ちリフレッシュ

← この連載をはじめから読む