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見事な筋トレ動画

──YouTubeチャンネル「一色劇場」では、腹筋を鍛えるトレーニング動画などもアップされています。

 あれはどちらかと言えば俳優寄りのトレーニングです。たとえば、陸上部時代は1秒でも速く走るためにトレーニングをしていましたが、いまは「1秒でも速く走るように見える」ためには、どの筋肉をどんなふうに動かすのかを考えて体を動かさないといけません。そのひと工夫、ひとねじりが面白いなと思って、いろいろ研究した成果を覚え書きみたいな形でYouTubeにアップしています。

──最近は「ミュージカル俳優」としての活躍が多いイメージですが、ご自身で意識されている部分はありますか?

 ミュージカルに出させてもらうようになったのは、実はここ3~4年なので、自分のなかでカテゴライズしたことはあまりないです。

 早稲田大学演劇研究会時代から、裏方も含めいくつもの舞台に関わらせてもらいましたが、いろいろやったからこそ何をやっても楽しいと思える役者になれたのはよかったなと思います。

──TVドラマ NHK宮城発地域ドラマ「ペペロンチーノ」では、お父様の一色伸幸さんの脚本の作品に出演されました。親子共演されて、いかがでしたか?

 父が書くセリフは、日頃から聞き慣れた父の音や口調がそのまま書かれているせいか、僕にとってはすごく口馴染みがいいんです。

 子どもの頃は父の文章って不思議だな、と思うこともありましたが、大人になって読んでみると、なぜここで体言止めが使われているのか、ここでこのワードが出てくるのはなぜか、というのが理屈ではなくわかるんですよ。これは役者にとっては、すごくありがたいです。

 あと、父は落語が好きなんですよね。ある時脚本を読んでいて、そのことにふと気づき「もしかして落語が好きだからこういう書き方にしているの?」と聞いたら「うん、そうだよ」と言われました。それは脚本家の真髄に一歩迫れた気がして、ちょっとうれしかったですね。

──素敵なエピソードですね。今後の目標についても、ぜひ教えてください。

 今回のエド役もそうですが、少しずつ大きな役をやらせていただけるようになって、一色洋平らしさも少しずつお見せできているのかなと思えるようになりました。

 まずはどんな役でも、どんな関わり方でも「一色洋平」として爪痕を残せるような、そんな役者になりたいと思っています。それと、やっぱり僕にとって父の脚本はちょっと特別なので、将来的には、「一色伸幸と一色洋平なら絶対におもしろい」とお客様に思っていただけるようなタッグになれたらうれしいですね。そうなれるように、これからも頑張ります。

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 ©荒川弘/SQUARE ENIX・舞台「鋼の錬金術師」製作委員会

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舞台『鋼の錬金術師』
 

公式HP https://stage-hagaren.jp/
【OSAKA】2023年3月8日(水)~3月12日(日)   新歌舞伎座
【TOKYO】2023年3月17日(金)~3月26日(日) 日本青年館ホール

原作  荒川 弘(掲載「ガンガンコミックス」スクウェア・エニックス刊)
脚本・演出 石丸さち子

エドワード・エルリック 役:一色洋平/廣野凌大(Wキャスト)
アルフォンス・エルリック 役:眞嶋秀斗
ウィンリィ・ロックベル 役:岡部 麟(AKB48)
ロイ・マスタング 役:蒼木 陣/和田琢磨 (Wキャスト)
リザ・ホークアイ 役:佃井皆美
アレックス・ルイ・アームストロング 役:吉田メタル
傷の男(スカー) 役:星 智也
ゾルフ・J・キンブリー 役:鈴木勝吾
キング・ブラッドレイ 役:辰巳琢郎

and more…

 

2023.02.16(木)
文=相澤洋美
撮影=釜谷洋史