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 さまざまな表情を持つ港町、横浜。歴史的建造物と話題の新スポットが共存しているところも横浜の魅力のひとつです。

 なかでも元町から山手エリアは、個性豊かなパン屋さんがひしめくベーカリー激戦区。地元で愛され続ける老舗に、こだわりのニューフェイスといったおいしいパン屋さんを巡りながら、「レトロ」×「トレンド」スポットを歩いてみました。

気になるパンばかり。元町散策がてら立ち寄りたい人気ベーカリー

 まず足を運んだのは、新山下のMEGAドン・キホーテのすぐ横、元町・中華街駅から徒歩約3分と好アクセスの「マリンベーカリー」です。

 「フランスを感じることができるパン屋さん」をコンセプトに、2019年12月にオープン。幼少期から「ポンパドウル」や「昭和ベーカリー」のパンを食べて育ったという元町生まれのオーナー佐々木さんが手がけるのは、できる限り無添加素材を使ったパンづくりです。

 フランスの伝統的な製法や食材を多く取り入れ、ルヴァン種やサワー種といった各種発酵種を使い分けているので、豊かな風味とさわやかな酸味のパンが楽しめます。

 素材だけでなく製法にもこだわり、焼成はパンに合わせて、フランス製「オリオン」とイタリア製「ベニックス」の2つのオーブンを使い分け。オープン当初には日本に1台しか導入されていなかったという「ベニックス」では、主にエッグタルト、クロワッサン、お菓子類が焼き上げられます。

 「マリンベーカリー」の一番人気は、発酵バターの風味が効いたポルトガル式の「横濱エッグタルト」。ひと口サイズで、幾層にも重なるパイ生地に、香りがよく濃厚なカスタードが詰められています。

 ザクッ、サクッといった軽やかな食感の秘密は、通常のパイの折り方が横になっているのに対して、縦に巻いていること。そのため、余分な油が型の下に流れて、揚げ焼きになるのだそう。

 また、甘さ控えめのあんこと、口の中でとろけるバターを堪能できる「塩バターパンのあんバター」も目玉商品のひとつです。

 塩バターパンには、風味豊かなサワー種、北海道産小麦粉にドイツ産の石臼挽きのライ麦を使用。ヒマラヤ山脈黒岩塩の独特の香りがアクセントで、練り込まれたポテトによるもちもち食感がたまりません。

 店内とテラスにイートインスペースがあるので、焼きたてのパンをすぐにいただけるのも嬉しいポイント。人気パンはもちろん、惣菜パンやサバサンドといったサンドイッチ類、焼き菓子など豊富なラインナップに目移りしてしまうベーカリーです。

マリンベーカリー

所在地 神奈川県横浜市中区新山下1-2-1
電話番号 045-264-4951
営業時間 10:00~19:00
定休日 月・火曜(祝日の場合は翌日休み)
https://marinebakery.com/

2022.12.21(水)
文=大嶋律子(giraffe)