自分の母は「人生の先輩」。その背中を見ながら歩む

――井上さん自身は、他者とのコミュニケーションで気をつけていることは?

 ちゃんと話を聞くこと、でしょうか。自分のことを話すよりも聞いてる方が好きですね。世代、職業、経験が違う方のお話は楽しいです。

――聞き上手で気配り上手な井上さんが、夕子にアドバイスするとしたら?

 親子の話ではあるけれど、その関係に限らず、仕事とはこう、結婚とは、幸せとは、みたいに、何となく世間の一般的な考えに自分自身も合わせることってあると思うんです。でも、世の中の普通が自分に当てはまることばかりではない。

 自分自身に嘘をつくことができず、ちょっとしたしんどさを抱えながら生きている夕子には「それで良いよ」と伝えてあげたいです。

――人によっていろんな親子関係があると思います。井上さんは、ご自身のお母さんを別の言葉で表現すると、どんな言葉が当てはまりますか?

 先輩!って感じですね(笑)。いろんなことに動じない強さはあるし、私のいい面も悪い面も理解してくれたうえで話を聞いてくれるし、相談し合える関係です。

――“先輩”であるお母さんから言われて、大切にしている教えは?

  日頃の振る舞いだったり、何か選択をするときは「ずるく」ならずに「賢く」ということはよく言われてきました。たくさんの人と関わっていく仕事だからこそ、周りに流されたり媚びるようなことはせず聡明に生きなさい。そんな母の教えを今も大切にしています。

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井上真央(いのうえ・まお)

1987年1月9日生まれ、神奈川県出身。『八日目の蝉』(11)で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞、山路ふみ子映画賞新人女優賞をはじめ数々の賞を受賞する。その他の映画出演作に、『謝罪の王様』(13)、『白ゆき姫殺人事件』(14)、『焼肉ドラゴン』(18)、『カツベン!』(19)、『一度も撃ってません』(20)、『大コメ騒動』(21)など多数。

映画『わたしのお母さん』

三人姉弟の長女で、今は夫と暮らす夕子(井上真央)は、急な事情で母の寛子(石田えり)と一時的に同居することになる。明るくて社交的な寛子だったが、夕子はそんな母のことがずっと苦手だった。不安を抱えたまま同居生活がスタートするが、昔と変わらない母の言動に、もやもやした気持ちを抑えきれない夕子。そんなある日、ふたりの関係を揺るがす出来事が起こる。

出演:井上真央、石田えり、阿部純子、笠松 将、宇野祥平
監督・脚本:杉田真一
配給:東京テアトル 
2022年11月11日(金)全国順次公開
https://www.watahaha-movie.jp/

2022.11.11(金)
文=松山 梢
撮影=平松市聖
ヘアメイク=AYA(TRIVAL)
スタイリスト=伊藤信子