飼っている文鳥との時間に癒される日々
笑顔の似合う、快活なヒロインを多く演じてきた井上真央さんの約2年ぶりとなる主演映画は、母親との関係にわだかまりを抱える女性の苦悩を描いた『わたしのお母さん』。残念ながらこの映画の中で、井上さんの笑顔はほとんど見られない。
「もうちょっとうまく生きられたら楽なのに」
演じた役を救ってあげたい気持ちになったと語る彼女は、“演じることの原点に立ち戻るような作品だった”と位置付けた。
子役としてデビューし、キャリアはすでに30年。これほど長く俳優を続けてこられたのはなぜなのか。彼女を支えてきた大切な人からの言葉、そして、選んでいたかもしれない意外な道について聞いた。
――子役として活動をスタートさせ、キャリア30年ですね?
あまり意識はしていませんが、唯一続いていることかもしれません。長く続けているからこそ、別の世界を見てみたいということは、考えたこともあります。でも、想像だったり、妄想で止まってしまいますけどね。
――具体的には?
子供の頃から動物と一緒に住むことに憧れていたんです。 獣医の資格を持てばたくさんの動物たちと暮らせるかなという思いが小さい頃からあって。大学の進路を決めるとき、近くに専門学校があったこともあり悩みました。先生も「今だったら目指せるかもよ」って。当時は揺らぎましたね(笑)。
――それでも俳優の道を選ばれた理由は?
やっぱり好きだからですかね。大変なことはもちろんありますが、この仕事に限られたことではないですし。だからこそ、自分の好きを仕事にできていることはすごくありがたいことだなと感じています。
――井上さんはSNSなどをやられていないので、プライベートも気になります。お仕事以外で、夢中になっていることは?
今、文鳥を飼っていて。1日に数回、カゴから出す“放鳥タイム”を作っています。自由にしている姿がすごく可愛くて。ただ、放鳥タイムに限って仕事の電話がかかってくることが多いんです。「今、放鳥中です」とよく言っています(笑)。
鳥を飼うのはこれが始めて。動画サイトでさまざまな情報を調べているうちに、今では「あなたにおすすめ」に出てくるものが鳥関連のものばかりになっちゃいました。
2022.11.11(金)
文=松山 梢
撮影=平松市聖
ヘアメイク=AYA(TRIVAL)
スタイリスト=伊藤信子