「今、一周回って、最先端はぜんぶ“愛”なんです!」

 2021年12月、CREA WEBのインタビューでこう高らかに宣言した映画監督の安藤桃子さん。

 2014年に映画『0.5ミリ』のロケをきっかけに高知に惚れ込み、移住を決意。異業種チーム「わっしょい!」を立ち上げ、味噌づくりや畑づくりを中心に様々な立場の人たちと活動を続けるなど、濃密な8年間を過ごしてきました。

 7月10日(日)には表参道のCIBONEで、自身がプロデュースしたお茶「桃山トゥルシー」のポップアップショップの1日店長を務め、8月1日(月)には高知市に映画を中心としたミュージアム「キネマ ミュージアム」を新設すると発表、精力的に活動を続けています。

「すべてはみんなが幸せになる映画を撮るため」

 そう話す安藤桃子さんに映画監督としての決意、そして大きな夢を聞きました。

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みんなが幸せになる映画が撮りたい

 8年前、高知に出合って私は変わりました。

 それまでは、映画監督として、クリエイターとして、自分の中での納得や満足を作品に求めていました。でも、高知に来て私は「映画を観た後にみんなが幸せになる作品を撮りたいんだ!」って思ったんです。

 高知の自然に触れて「私、地球にこんなにも愛されていたんだ」って言葉じゃないところで感じて、意識が反転したというか。世界も自分も、ぜんぶ繋がっている。世界は自分の中にあったんだって。映画を撮る目的がグルっと裏返ったみたい。

 そう感じた時、高知という母なる大地に全力で向き合おうって移住を決めました。みんなが幸せになる映画を撮るにはそうするしかないと。

すべてに対して優しくあろうという覚悟を決めました

 高知では、いろんな人といろんなことを経験しました。

 味噌を作ったり、野菜を作ったり、そして今回プロデュースした「桃山トゥルシー」を実際に自分の手で、たくさんの仲間と作ることで、いろんな人の物語や自然の物語が生まれてくる。

 身をもってそういう本当の体験を通して、初めて愛とか癒やしをみんなにお届けさせてもらえる。

 「撮るもの」と「撮られるもの」って別の事柄じゃないんですね。切り離されないで繋がっている。互いあっての、ひとつのことなんですね。

 そういう意味で、映画制作も桃山トゥルシーも実は目的は一緒。すべての命に優しくありたい。その延長線上にあるものなんです。

2022.08.11(木)
文=CREA編集部
写真=今井知佑