自分が映画業界に「いただいたもの」を返すこと

――井浦さんはMini Theater Parkほか、映画業界の居場所を作る・守る活動も精力的に行われているかと思います。先日も、是枝裕和監督らが立ち上げた「日本版CNC設立を求める会」の賛同人に名を連ねていらっしゃいました。

 今の自分ができることをやっているだけです。僕は、誰かが導いてくれて教えてくれたからいまここにいられる。20云年で出会ってきた映画人や映像関係者、映画館との時間があるから、「いただいたものを返す」という気持ちです。

 お仕事をいただくのも一緒で、自分の何かが必要とされて声をかけていただけるのは本当にありがたいこと。一緒にできるのであれば喜んでやりたいと思っています。その結果、やったことが誰かの居場所になれたら自分のモチベーションにもなりまし、すごく意味のあることだと感じています。

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井浦 新(いうら・あらた)

1974年9月15日生まれ、東京都出身。『ワンダフルライフ』(是枝裕和監督)で俳優デビュー後、映画、テレビドラマなどで幅広く活動。『11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち』で第22回日本映画プロフェッショナル大賞主演男優賞、『かぞくのくに』で第55回ブルーリボン賞助演男優賞を受賞。近年では、『朝が来る』、『かそけきサンカヨウ』、『恋する寄生虫』、『ニワトリ☆フェニックス』などに出演。アパレルブランド「ELNEST CREATIVE ACTIVITY」のディレクターを務めるほか、日本の伝統文化を繋げ拡げていく活動をおこなっている。

『こちらあみ子』

2022年7月8日(金)より新宿武蔵野館 ほか全国順次公開

あみ子はちょっと風変わりな女の子。優しいお父さん、いっしょに遊んでくれるお兄ちゃん、書道教室の先生でお腹には赤ちゃんがいるお母さん、憧れの同級生のり君、たくさんの人に見守られながら元気いっぱいに過ごしていた。だが、彼女のあまりに純粋無垢な行動は、周囲の人たちを否応なく変えていくことになる。誕生日にもらった電池切れのトランシーバーに話しかけるあみ子。「応答せよ、応答せよ。こちらあみ子」―――。奇妙で滑稽で、でもどこか愛おしい人間たちのありようが生き生きと描かれていく。

出演:大沢一菜、井浦 新、尾野真千子
監督・脚本:森井勇佑
原作:今村夏子(「こちらあみ子」ちくま文庫)
音楽:⻘葉市子
製作プロダクション:ハーベストフィルム エイゾーラボ
配給:アークエンタテインメント
©2022『こちらあみ子』フィルムパートナーズ
■公式サイト:https://kochira-amiko.com/
■Twitter:@amiko_2021

2022.07.06(水)
文=SYO
撮影=山元茂樹
ヘアメイク=NEMOTO(HITOME)
スタイリスト=上野健太郎(KEN OFFICE)