目標を持つより、目の前のことを全力でやるほうが合っている
――高校時代は友達がいなかった設定の西条。神尾さん自身はいかがでしたか?
中学まではずっとサッカーをやっていたんですけど、高校では“ザ・青春”みたいな感じ。友達とカラオケに行ったりボーリングをして遊んだり、青春をしっかり謳歌していました。楽しかったですね。
――どんなキャラだったんですか?
「ひねくれてる」とは言われていましたね。僕的にはひねくれていたというより、斜に構えていたっていう感じ。当時はそれがモテると思っていたんです。
――モテましたか。
まあまあ、ある程度は(笑)。
――23歳の今はいかがですか? プライベートでどんなことをしている瞬間が楽しいのでしょう?
友達といる時ですね。お酒を飲んだり、カラオケに行ったり、気分転換にドライブに出かけたり。カラオケでよく歌うのは、90年代に活躍していたバンドの曲。THE YELLOW MONKEYはめっちゃ好きですし、最近では30周年なので、Mr.Childrenを聞くことも多いです。好きな曲はいっぱいあるんですけど、「あんまり覚えてないや」は歌詞がすごくいいんです。昨日のことはあまり覚えてないのに、親との思い出は覚えている……みたいな内容。すごくいい曲なので、まだ聞いたことがない人はぜひ!
――同世代のバンドを聴くことは?
もちろんありますよ。でも今の曲って、歌詞に「既読無視」とか出てくるじゃないですか。それがなんだか生っぽすぎる気がして。僕にとっては昔の曲の方が新鮮だし、今の曲とは違ったよさがある気がしています。
――俳優としてデビューしてから7年。注目度もぐんと上がり、役もどんどん大きくなっていると思いますが、現状をどう捉えていますか?
仕事が増え始めたのはドラマ『3年A組-今から皆さんは、人質です-』からですが、その頃から感覚的には別に何も変わっていないです。見てくださっている方が増えていることは理解していますが、僕自身はそんなにステップアップしている気がしないんです。
――お芝居は楽しいですか?
楽しいです。でもやればやるほど難しいですよね。20歳くらいの時のほうが純粋に楽しいって思いながらやっていた気がします。今は楽しいよりも難しいが大きくなってきました。以前は自分のことだけを考えればよかったけれど、今は作品全体のことはもちろん、関係している人たちのことなどを考えることも増えてきた気がします。主演として表に立って取材を受けることが増えたことで、どう受け取られているのか、周りからの評価も気になるようになりましたしね。そもそも、「芝居ってなんだっけ……?」みたいなこととかも、よく考えています。
――そのことを誰かに相談したりは?
俳優をやっている友達には、「最近マジで芝居がうまくできないんだよなー」みたいに言うことはあります。でも別にそれに対して何か反応が返ってくることはないかも。ただ一方的につぶやいている感じ。プライベートで仕事の話をするのはやめよーぜって空気だし、そういう人たちが僕の友達には多いので。
――では今後、どんな未来を思い描いていますか?
それが本当に何も描いていないんです。正直、自分でもどうなりたいのかわからない。本当に流れに任せるしかなくて。
――例えば「大河ドラマに出たい」など目標は?
まったく考えてないですね。
――「海外で活躍したい」とか。
全然(笑)。
――無欲なんですか!?
はい。でも、無欲だからこそ続けられているのかもしれません。「これをやりたい」とか目標を持っていると、「無理かもしれない」と思った瞬間、僕はきっとやめちゃう気がして。とにかく目の前のことを全力でやる。それが性格的に合っている気がします。
神尾楓珠(かみお・ふうじゅ)
1999年1月21日生まれ、東京都出身。2015年に俳優デビュー。主な出演作はドラマ『3年A組-今から皆さんは、人質です-』、『左ききのエレン』、『顔だけ先生』、『17才の帝国』、映画『彼女が好きなものは』、『親密な他人』、『20歳のソウル』など。
『恋は光』
[2022年6月17日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開]
恋する女性が光って視える特異な体質を持つ大学生の西条(神尾楓珠)はある日、「恋というものを知りたい」と言う文学少女・東雲(平祐奈)と出会い、一目惚れ。恋の定義を語り合う交換日記を始めることに。西条に密かに想いを寄せる幼馴染の北代(西野七瀬)は、そんな2人に心をざわめかせていた。さらに、他人の恋を略奪してばかりの宿木は西条を北代の彼氏だと勘違いし、猛アプローチを開始。いつの間にか4人で恋について考え始め、不思議な四角関係ができていく。
出演:神尾楓珠、西野七瀬、平祐奈、馬場ふみか
原作:秋★枝
脚本・監督:小林啓一
©秋★枝/集英社・2022 映画「恋は光」製作委員会
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2022.06.14(火)
文=松山 梢
撮影=榎本麻美
ヘアメイク=内藤歩
スタイリスト=杉本学子