「僕史上、最もハードルの高い役」に松坂桃李はどのように向き合ったか。映画『流浪の月』インタビュー

CULTURE

2022.5.6

自分の中の「偏ってはいけない」という考え方

――実際に出演される順番と公開・放送される順番は違うかと思いますが、『流浪の月』に加えて「今ここにある危機とぼくの好感度について」や『空白』など、正義や倫理が揺らぐさまを描いた力作が続いている印象です。ご自身で「いまはこのフェーズ」と意識されている部分はあるのでしょうか。

　どちらかというと、自分の中に「偏ってはいけない」という考えがあるので、そこは本当にバランスを見ています。メッセージ性がしっかりある重厚な作品をやりたい自分もいるし、アットホームな家族ものやコメディに振ったライトな作品に出たい自分もいる。バランスよくやることで、違う角度からのものの見方や考え方に取り組めるんですよね。ひとつのジャンルにとらわれず、選択できるような仕事の仕方をしていきたいと思っています。

――多様な価値観を持つという部分、松坂さんらしいなと感じました。そういったお考えは、昔からお持ちなのでしょうか。

　そうですね、20代の半ばからチーフマネージャーさんとは「もっと広げていきたい」という話をしていました。20代の前半はライトな明るい作品が多かったのですが、そういったことを続けさせていただける有り難さを感じつつ、同じようなニュアンスを続けると自分に甘さや怠けが出てしまうと感じたんです。

　そこで思い切って「別方向に振り切った作品をやってみたいです」と相談したところから、バランスを重視したいという考えが生まれました。自分からどんどん違う現場に飛び込むことで、より色々な場所に連れて行ってもらえるようになりました。

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松坂桃李(まつざか・とおり)

1988年10月17日生まれ、神奈川県出身。2009年「侍戦隊シンケンジャー」で俳優デビュー。2019年『孤狼の血』で日本アカデミー賞最優秀助演男優賞、2020年『新聞記者』で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞。今後の待機作に映画『耳をすませば』(2022年10月14日公開)がある。

映画『流浪の月』

原作：凪良ゆう「流浪の月」(東京創元社刊)
出演：広瀬すず　松坂桃李
横浜流星　多部未華子　趣里　三浦貴大　白鳥玉季　増田光桜　内田也哉子　柄本明
監督・脚本：李相日
撮影監督：ホン・ギョンピョ
音楽：原摩利彦
製作総指揮：宇野康秀
https://gaga.ne.jp/rurounotsuki/

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