【KEY WORD:エドワード・ジョセフ・スノーデン】
1983年アメリカ合衆国ノースカロライナ州出身。高校を中退後、GED(中等教育修了証※日本の高等学校卒業程度認定試験と同レベル)を取得するため地元の短期大学に入学。卒業後はCIA(中央情報局)でコンピュータセキュリティ関連の任務に就き、退職後にはNSA(国家安全保障局)関連施設で情報システムの管理者に就任。その際NSAの違法な情報収集に関する文書を発見し、それをもとに告発した。
彼へのラブラブメールも政府へ筒抜になっていた!?
アメリカ国外の諜報活動を担当するスパイ組織NSAが、グーグルやフェイスブック、アップル、スカイプなどのネット企業のサーバーにアクセスし、個人データを大量に収集していたことが明らかになりました。音声や動画、写真、電子メール、文書などの個人情報が筒抜けになっていたのです。この「PRISM(プリズム)」という名前の秘密計画を暴露したのは、エドワード・スノーデンという当時29歳の元CIA職員。
アメリカでは蜂の巣を突いたような騒ぎになっています。外国での諜報活動は違法ではありませんが、アメリカ政府が自国民をスパイするのは違法行為。政府は「外国人の情報を収集していただけ」という弁明を出していますが、果たして本当かどうか。
グーグルやフェイスブックも批判されています。インターネットの自由を標榜する企業が、政府にデータの収集を許していたとは! 当初は各社とも事実を否定していましたが、その後、PRISMの存在を認める業界人も現れてきているようです。
ただ、われわれアメリカ人以外から見ると、またかという印象でもあります。NSAは2001年ごろにも、「エシュロン」という計画が暴露されました。これは電波を傍受して、軍事無線や電話、メール、ファクスなどの情報を収集していたというもの。ヨーロッパなどからは「軍事情報だけではなく個人情報まで傍受している」と強い批判が出ました。アメリカ政府の個人情報収集は、いまに始まったことではないのです。
それでも勝手に個人情報をとられることが、不気味な行為であるのにはかわりありません。ただこの傍受はテロリストやスパイ行為を取り締まるのが目的なので、よほどの誤解でもない限り、普通の日本人が巻き込まれることはありません。
今後もネットサービスを使い続ける限り、政府などから監視を受けることは避けられません。そうした行為が行われているのだと認識した上で、インターネットを使いこなしていく覚悟が求められるのかもしれません。
2013.08.18(日)