佐々木俊尚 1961年兵庫県生まれ。毎日新聞社、アスキーを経て、フリージャーナリストとして活躍。公式サイトでメールマガジン配信中。著書に『本当に使えるウェブサイトのすごい仕組み』

【KEY WORD:グーグルグラス】

 米IT大手グーグルが2013年2月に発売した新しいデバイス。拡張現実対応ディスプレイをからだに装着するタイプのデバイスは以前にもあったが、グーグルが支援したことや小さくスリムなデザインになったことで注目を集めている。普通のメガネにディスプレイすることも可能。

デバイスが急進化! マンガのような未来はすぐそこ!?

 インターネットは最初パソコンで利用され、その後携帯電話(スマートフォン)に普及し、今ではタブレットでも利用されるようになりました。この次は何? と期待されているのが、「ウェアラブル」と呼ばれる機器。からだに装着可能、という意味です。たとえばブレスレット型とかメガネ型みたいなものですね。

 中でもいち早く発表されたのが、グーグルが開発した「グーグルグラス」。1500ドルで試験的に販売されており、実際に試したレポート記事もたくさん書かれていて、アメリカのIT業界では話題沸騰です。

 グーグルグラスはメガネ型で、かけると視界の右上部に小さなスクリーンが見える仕組みになっています。バッグやポケットにスマートフォンを入れておけば、無線LANやブルートゥースでネットにつながります。

 操作は音声か、メガネのツルの部分を指でタッチ。音声では「オーケー、グラス」という声でコマンドが受け付けモードに。「写真を撮れ」「○○に行け」などと英語で伝えれば指示通り動くのだとか。発表イベントでは、「オーケー、グラス。サンキューは日本語で何て言うの?」と伝えると、「サンキューを日本語で言うと、アリガトウ」と音声で回答が返ってくる様子が披露されていました。

 スクリーンには、さまざまな情報が表示されます。たとえば乗る予定のフライトの出発状況や、ニュース、電子メールの本文、メモ。将来は、目の前にいる人の顔を画像認識技術で検索し、フェイスブック上で確認することもできるようになるとか。見覚えのない人から「お久しぶりですね!」と話しかけられて慌てることもなくなります。でも、ちょっと気持ち悪い感じもしますね。

 ウェアラブルが普及してくると、インターネットと私たちの身体の連携はますます加速し、ネットの使い方もまったく違うものに変わっていくでしょう。その先に何が待っているのかは、まだ想像もつかない。でも避けられない未来だとすれば、おもいきり楽しむしかないと思います。

2013.06.17(月)

CREA 2013年7月号
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