「感情が“変わった”って感じられる瞬間も好き」
――お芝居をしていて一番楽しい瞬間というと?
私は普段人と話す時に、ちょっと冷静になって一歩引いてみるようなところがあるんですけど、お芝居をしている時はそういうことが一切なくて、集中して没頭できるんです。その瞬間はすごく好きですし、あと自分の感情が“あ、今なんか変わった”って感じられる瞬間も好きですね。
――じゃあ例えば友達と話す時も、自分から騒ぐタイプではなく、ちょっと落ち着いて見ているようなタイプなのでしょうか?
そういう感じでもなくて(笑)。割合的には1対9で9割は、はしゃいでるかもしれないです(笑)! ただ、会話が終わってから、「あの時ちょっとうるさくし過ぎたかな」って反省することもありますね。
――高校生活との二足の草鞋は大変なところもあるかと思いますが、それについてはいかがですか。
高校は本当に楽しいので全く辛くないです。学校生活があることでリフレッシュできているところもあります。お芝居は悩むこともありますが、私自身すごく好きなことですし、私は予定があまりないとダラッとしてしまうので、学校もあるし、お芝居もできているっていうことで、メリハリがつきます。そして自分の好きなことをずっとやれているので毎日すごく充実しています。
――4年くらい前のインタビューでは「映画監督になってみたい。自分で物語を書いて、主人公はどう演じるのが良いかいつも考えている」とおっしゃっていました。あれから変化はありましたか。
いつか監督に挑戦してみたいという気持ちはあります。でも、今は自分の役を演じるだけで精一杯です。『さがす』でも、片山監督に役について質問するとすぐに明確な答えを返してくださって。全部の役に対して、演じる人以上の“像”があるので本当にすごい、私にはまだまだできないと思いました。
――16歳ですから、まだまだ先があると思いますよ(笑)。
そうですかね(笑)。あと、今、外国語の勉強もしているので、それをお芝居に活かせるくらい頑張りたいです。様々な国の作品やコンテンツを観るようになっていったら、YouTubeのおすすめにK-POPのダンス・プラクティス動画が出てきたんです。
私は3歳からダンスをやっていたんですが、その動画を観たら、ダンスがすごくてどれだけのレッスンをしているのかと想像するだけで、尊敬しました。それでどんどんK-POPが好きになっていったんです。周りにK-POPが好きな友達も多いので、いろんな話をして盛り上がっています。
――他に最近興味を持っていることはありますか?
この前あった期末テストぐらいから、時間をもうちょっと計画的に使うにはどうしたらいいのか悩んでいます。「今日はこれをやろう!」って思っていても絶対できないんです。なんでなんだろう……ボーッとしているんですかね?(笑)。
母には、「やることまでの寄り道が多い」って言われていて。確かに勉強する前に、飲み物やおやつの準備をしたり、部屋を片付けたりしているので、それが余分なのかなって(笑)。“計画的な時間の使い方”は、今年の目標にしたいです。
伊東 蒼(いとう・あおい)
2005年9月16日、大阪府生まれ。6歳の時、ドラマ「アントキノイノチ~プロローグ~天国への引越し屋」(11/TBS)でデビュー。国内外の映画祭で話題となった『湯を沸かすほどの熱い愛』(16/中野量太監督)で映画出演2作目にしてその演技が認められ、第31回高崎映画祭最優秀新人女優賞を受賞。その後、初主演を果たした『島々清しゃ』(17/新藤風監督)では、第72回毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞を受賞。21年には「ひきこもり先生」(NHK)、連続テレビ小説「おかえりモネ」(NHK)、『空白』(𠮷田恵輔監督)などの話題作に出演。
映画『さがす』
大阪の下町で平穏に暮らす原田智と中学生の娘・楓。「お父ちゃんな、指名手配中の連続殺人犯見たんや。捕まえたら300万もらえるで」。いつもの冗談だと思い、相手にしない楓。しかし、その翌朝、智は煙のように姿を消す。ひとり残された楓は孤独と不安を押し殺し、父をさがし始めるが、警察でも「大人の失踪は結末が決まっている」と相手にもされない。それでも必死に手掛かりを求めていくと、日雇い現場に父の名前があることを知る。「お父ちゃん!」だが、その声に振り向いたのはまったく知らない若い男だった。
失意に打ちひしがれる中、無造作に貼られた「連続殺人犯」の指名手配チラシを見る楓。そこには日雇い現場で振り向いた若い男の顔写真があったーー。
監督・脚本:片山慎三
共同脚本:小寺和久、高田 亮
出演:佐藤二朗、伊東 蒼、清水尋也ほか
製作:アスミック・エース、DOKUSO映画館、NK Contents
配給:アスミック・エース
2022年1月21日(金)テアトル新宿ほか全国公開
©2022『さがす』製作委員会
2022.01.21(金)
文=小松香里
撮影=鈴木七絵
ヘアメイク=伏屋陽子(ESPER)
スタイリスト=山口香穂