片づけが極端に苦手なんです
質問 (ダーティーハニー/ 東京都 30代女性)

 こんにちは、私の悩みはズバリ、部屋の片づけが極端にできないことです。仕事が忙しい、最新ファッションのアイテムをたくさんそろえたいなど、いい訳はいろいろとあります。でも、さすがにいまの状態はあまりにもひどい。脱ぎ散らかした洋服、バラバラのアクセサリー、いつ買ったかもわからない雑誌や小物など、部屋中にあふれかえっています。じつはいま、部屋のエアコンが壊れているのですが、部屋を見られるのが恥ずかしくて、とても修理の業者さんを呼べません。リカ先生、片づけられない病の私をきつく叱ってやってください。

お答え

 片づけはこのところブームの一つになっていて、“こうすればうまく片づけられる”という関連本がたくさん出ていますね。裏を返せば、それだけ世の中に、片づけられずに悩んでいる人たちがいるということなのだと思います。私のいる精神科・心療内科の診察室にも、「私、片づけがぜんぜんできないんですけど、これって何かの病気でしょうか」というご相談で来られる方が、年に数人いらっしゃいます。

 日頃そういう方たちとお話ししているおかげで、私は片づけというものに一言あります。といっても、私が片づけの達人かというとまったくそうではなくて、おそらくこのダーティーハニーさんとあまり変わらないような、部屋がものであふれかえっている状況です。それでもなおかつ私には、片づけについて一言いいたいことがあるので、ここではそれをお話ししようと思います。

 片づけができないという悩みを抱える人たちに話を聞くと、一つの特徴があることがわかります。それは、その人たちが、ほんとうはとてもきれい好きで、完璧主義だということ。こういうとみなさんは、「え、逆じゃないの。だらしなくて、完璧主義の反対の中途半端な人なんじゃないの」とおっしゃるかもしれません。でも、相談にいらっしゃる方々は、ほんとうに真面目な方ばかりなのです。では、いったいどうしてそういう人が、片づけが苦手なのか。じつは、その方たちはこんなことを考えているのです。

「どうせ片づけるなら、雑誌のグラビアに載っている部屋のように、ものすごくきれいにしたい」、「一部だけ片づけるのは、片づけとはいえない」、「中途半端に片づけるくらいなら、もう今日は何もしないほうがいい。いつかまとめて全部やろう」。

 つまり、片づけられないと悩む人たちは、片づけということに対してかなり思い込んでいる、あるいは思い詰めすぎているんですね。

 その証拠に、片づけが苦手で相談に来られるのは、それ以外のこと、仕事や勉強はちゃんと優秀にやっているがんばり屋さんが多いのです。診察の予約時間はいつもきっちり守り時間の数分前から待っているし、身だしなみもきちんとしている。雰囲気からは、とても片づけが下手だということは想像できない人ばかりです。予約時間にいつも遅れたり、部屋着のままで診察室に来ているような人に、「私、部屋が汚いんですよ」といわれれば、「たしかに……」と思いますが、そうではない。

 ご相談者のダーティーハニーさんも、とっても真面目に何かを追求する気持ちが強いタイプで、ハッと気づいたらもう手がつけられないくらいにまで部屋が混沌としていたのではないでしょうか。その時点で、「あ、まずい、ちょっとは捨てなきゃ」と思えばいいのですが、おそらく、どうせきれいにするなら全部一気に片づけたい、でも今週は時間がない、来週もない……ということで、ずるずると時間が経っているのではないか。片づけが極端に苦手だという人は、まずその人の片づけに対する凝こり固まった考え方をなんとかしなければ、部屋も改善されないのではないか、というのが私の考えです。

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2013.06.20(木)