過去を掘り起こして楽しめるコンテンツの充実ぶりがすごい

 宝塚歌劇団公式からの供給も素晴らしく、一世紀にわたって(現在創立から107周年)、ファンのオタ活を支え続けているだけのことはある。

「ファンに対して、こんなに“福利厚生”が整っているジャンルって他にないんじゃないかと思います。公式の手厚さももちろんですが、たとえば、身近な友達や編集さんと何かの会話の流れで、宝塚にハマったんですってなるじゃないですか。そうすると、現在進行形でファンの方、過去にご贔屓がいた経験がある方、身近にディープなヅカファンがいる方……と、芋づる式に出てくる出てくる(笑)。

 世の中にはこんなにヅカファンがいたのかと驚くほどです。しかもその繫がりで『同行者が行けなくなったんだけど……』と誘ってもらったり、ご贔屓が載っている過去の雑誌や写真をいただいたり。あらゆる所から『これ観てる?』『これ持ってる?』と声をかけていただける。とにかく新規ファンに対しても優しいんですよね」

 公式からの供給は、出版物から舞台写真、さらには一日中宝塚の情報を発信している宝塚歌劇専門チャンネル「タカラヅカ・スカイ・ステージ」のコンテンツまで、とにかく痒いところに手が行き届いている。また、ほとんどの舞台が映像収録されており、後追いできるという安心感も。

2021.09.23(木)
Text=Lisa Mochizuki
Illustrations=est em

CREA 2021年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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