桝一客殿
[長野・小布施]
家に招かれたような心づくしのおもてなし
晩年の葛飾北斎が長く逗留した信州小布施。周りを信濃の山々に囲まれて、西は千曲川を望むこの町の中心に「桝一客殿 (ますいちきゃくでん)」はある。土蔵と木造家屋が並ぶ外観の印象を裏切り、内部は完全に西洋式のモダン空間。代々栗菓子店や造り酒屋を営んできた「小布施堂」が、祖である高井鴻山が北斎を手厚く世話したように客人をもてなしたいと誕生させた宿泊施設だ。「本来我が家にお泊まりいただくところですが……」の気持ちがサービスの基本というだけに、心づくしの親密なもてなしが随所に溢れる。食事は庭や小径でつながれた三カ所のレストランで。バーへ、またお土産を探しに造り酒屋や栗菓子店へと、「味わい空間」と名付けられた周辺界隈を散策するのも楽しい。
右:蔵と蔵をつなぐ黒板壁の渡り廊下
「桝一市村酒造場」17代 市村次夫さん
小布施の魅力は、面積も人口も会社の規模もすべてが小さいということでしょうか。ふと手の届く親しみ溢れる町、そのような小布施を感じにぜひお越しください。
2013.06.11(火)
text:Giraffe
photographs:Mami Yamada