『シーズン3』じゃなくて、いいんじゃないですかね? もう、太るの嫌です(笑)。

――『シーズン1』のときから台詞を足す作業をされていたとは、役と一体化するはずですね。

 例えば、『シーズン1』だと、台本上では「アダルトビデオの撮影をしている」だけなんですけど、撮影をしているということは、何か言わなきゃじゃないですか。村西がしゃぶられているだけのシーンでも、「何を言おう……」と、めっちゃ悩むんですよ。しかも村西なりにギャグというか、変なことをチョイスしないといけないから……。

 現場では、僕というか、僕がやる村西とおるが、その場で何を言うか、監督やみんながすごく楽しみにしてるんです。それで、たまに「すっごいの出ましたね!」とか「もう、完璧ですよ」みたいなのがあったりする。すごく楽しい作業ですけど、すごく辛くもある作業なので、悩みますよ。

――今お話されたのは、表現者の喜び、ということにもつながりますよね。俳優ならではの享受というか。

 それで言うと、『シーズン2』の台本のテスト版を観たとき、各話にタイトルがついているじゃないですか。最終話のタイトル、先ほどお話したシーンで、完全に僕が考えたセリフから抜粋されていたんです。

 そのタイトルにもなった言葉は、村西は鈍ってもきてるし、ギャグのセンスもなくなってる、ただのおやじギャグになってしまっている、というのもやりたくて言ったことで。それが8話のタイトルになっていたから「お、ちょっとこれは嬉しいぞ!」って。

――確かに、チョイスされたのは嬉しいですね……! そのほか、『シーズン2』を撮影していて、「ああ、芝居をやっていてすごく面白い」と感じ入ったようなシーンや瞬間は、ありましたか?

 そうですね、難しいな……。自分で見ていて、「よくやったな」と思ったシーンは、村西の会社、ダイヤモンド映像の女優たちが全員出てきて、村西がブチ切れて全部言っちゃうところです。あそこは、テンション的にもそうですし、相当(台詞を)足しているんですよ。もっと全員に深い傷を与えて、この人たちが出ていかなきゃいけないから。信じていた村西、アダルト業界全部に絶望させなきゃいけないから、追い込まないといけない。

 あのシーンを作っているとき、「あ、どんどんもっと醜くなりたいから、脱ぎてぇな」と思ったんです。あそこで、村西が「撮影しよう」と言っても、誰もついてこないのはわかっているけど、「今すぐ撮ろう」と言って、脱ぎました。あの身体でビンタもくらって、最後みんなに置いていかれて……。「うわぁ、本当にこの人、かわいそうな、残念な人だな」と自分でも観て思ったので、まぁ、よく頑張ったなと思いました。

――興味深いエピソードの数々、ありがとうございました。総監督の武正晴さんは、『シーズン3』を希望されていらっしゃいますが、山田さんのご意向は……?

 え、うっそだぁ!? それで言いますと、武監督が決まる前から僕はプロジェクトに入っていて「『シーズン1』と『2』をやりましょう」という話だったんですよ。だから「俺はあなたより先に入って『シーズン2』という話をしたからやってんだ!『3』なんて聞いてねえぞ!」となります(笑)。

――(笑)。言い換えれば非常にやり切った作品、ということになりますか?

 全員やり切るところまで持っていかなきゃ、完成しないですよね、これは。全力で出し切らないと。なので、『シーズン3』じゃなくて、いいんじゃないですかね? 別のことを俺は武さんとやりたいです。もう、太るの嫌です(笑)。

山田孝之(やまだ・たかゆき)

1983年10月20日生まれ、鹿児島県出身。1999年に俳優デビュー。俳優としてだけでなく、監督、プロデューサー、音楽活動など多岐にわたって活躍。主な出演作に『クローズZERO』シリーズ(2007年・09年)『闇金ウシジマくん』シリーズ(10年・14年・16年)、『勇者ヨシヒコ』シリーズ(11年・12年・16年)、映画『50回目のファーストキス』(18年)、『ステップ』(20年)、『新解釈・三國志』(20年)など。現在映画『はるヲうるひと』、竹中直人・齊藤工と監督を務めた映画『ゾッキ』が公開中。

Netflixオリジナルシリーズ『全裸監督 シーズン2』

平成の始まりと共にアダルトビデオ業界の頂点に立った村西(山田孝之)は、企画シリーズものを大量に制作していた。だがそれらは、黒木(森田望智)と作り上げた「SMっぽいの好き」のような伝説的な作品には遠く及ばない。黒木は再び村西との作品制作を切望するが果たされず、二人の間には少しずつ溝が生まれ始めていた。そんな時、村西は衛星放送事業への進出を勧められる。「空からエロを降らせる」という大きな夢に向けて、更に金をかき集める村西。そんな村西に疑問を抱く川田(玉山鉄二)。しかし、苦楽を共にした川田の意見にも聞く耳を持たず、遂に決別した村西は新会社・ダイヤモンド映像を立ち上げ、乃木真梨子(恒松祐里)ら新たな女優たちのプロモーションを始める。一方、古谷(國村隼)のもとでヤクザとなったかつての相棒・トシ(満島真之介)は、村西に対して複雑な感情を抱いていた。

総監督:武 正晴
監督:後藤孝太郎
出演:山田孝之 満島真之介 玉山鉄二 森田望智 恒松祐里

2021.06.22(火)
文=赤山恭子
撮影=佐藤 亘
スタイリスト=五月桃(ROOSTER)
ヘアメイク=灯(ROOSTER)