“世界一幸せな動物”クオッカのファミリーが暮らす埼玉県こども動物自然公園

 「クオッカ」が来日したのは、約1年前。新型コロナウイルスの影響で、なかなか会えなかったけれど、2020年7月に公開。元気な様子を見せてくれるだけでなく、なんとファミリーも増えました。

 昨年の記事に引き続き、1年ぶりに埼玉県こども動物自然公園の田中園長にお話を聞きました。

思っていたのと違うぞ⁉ とギャップを感じることもあって、いつまでも興味が尽きません

――昨年、オーストラリアから来日した際は、1回目の緊急事態宣言下で、なかなかお披露目ができませんでしたね。

 「40周年を記念して無事にやってきてくれたものの、公開は延期になってしまいました。当園では初めての飼育にも関わらず、感染対策でチームを分けて出勤していたため、スタッフ同士も直接相談し合う機会をもてなかったりと、慣れないことばかりのスタートでした。

 このようなご時世のなかで、元気な姿を無事に公開できたときはホッとしました」(埼玉県こども動物自然公園・田中園長)

――園自体がいつもと違う状況だったわけですもんね。公開に向けての準備も大変だったのではないでしょうか。

 「デリケートな動物ですし、初めての飼育なので、居住スペース『クオッカアイランド』の環境を作るのにも時間をかけました。

 こちらのスペースに自生している植物を全部調べてオーストラリアに報告するなど、現地に研修にも赴いて入念に準備したんです」

――居心地のいいおうちができて、この1年、クオッカの暮らしぶりはどうでしたか?

 「いろいろな一面を見せてくれました。思っていたのと違うぞ⁉ とギャップを感じることもあって、いつまでも興味が尽きません。

 クオッカは可愛くて、愛嬌があるイメージが強いですが、一方で野生動物としての一面もしっかりと見せてくれます。実は、野生では群れではなく、単独行動が多いんです。

 特にオス同士は喧嘩をすることもあるので、ずっと同じスペースで飼育できるわけではありません。オスとメスも、知らないうちに赤ちゃんができていた~ということがあっても困ってしまうので、注意が必要。

 何気ない様子を日々細かく観察して、判断するように心がけました」

2021.06.18(金)
文=CREA編集部
撮影=深野未季