お造り、八寸、黒豚しゃぶしゃぶ
薩摩焼の器で堪能する絶品会席料理

 食事は、プライベートを保てる半個室の食事処へ。旬の海鮮とシラス台地(火砕流や火山灰が体積した水はけのいい台地)を活かした農産・畜産物など、食材に恵まれた鹿児島県ならではの会席料理が楽しめます。

 おかもち風の特製容器に季節の味を盛り込んだ「宝楽盛り」、薩摩焼の器を使った料理の数々でお酒を楽しんだあと、おもむろに登場するのがメインの「黒豚しゃぶしゃぶ」。

 鰹とアゴの出汁を満たした鍋を火にかけ、煮立ったところで、さらに削りたての枕崎産の鰹節で“追い鰹”をして、鹿児島産黒豚をしゃぶしゃぶしていただきます。旨みたっぷりの出汁にたれは不要。野菜もおいしく味わえます。

 「黒豚しゃぶしゃぶ」の〆は、意外なことに蕎麦。実は鹿児島は、全国4位の蕎麦どころだそうで、魚介と豚の旨みたっぷりの出汁を残さず味わうには最高の取り合わせです。

 蕎麦の名産地として知られる志布志の製麺所にオーダーしているという蕎麦は、出汁の旨みに負けない風味があり、お腹いっぱいでもツルツルと入る喉越しの良さ。

 食後のデザート「軽羹(かるかん)あんみつ」は、郷土菓子の軽羹をミルクに浸けてふわっと口溶け良く仕上げ、黒糖のアイスクリーム、安納芋のペーストを添えたもの。器は薩摩焼のなかでも個性際立つ「龍門司焼」。見た目ほど重くなく、程よい品の良さが料理を引き立てます。

2021.06.02(水)
文=伊藤由起
撮影=鈴木 七絵