明日何が起きるかわからないから、悔いがないように生きたい
2021年4月15日(木)から全世界同時配信されるNetflix映画『彼女』でさとうほなみと共にW主演を務めた水原希子さん。「この役を引き受けるのに、ものすごく勇気が必要だった」と語る彼女が、実際に撮影現場ではどうだったのか、また、レイという役を演じたからこそ、得られたものとは? 前編に引き続き、水原さんの飾らない本音トークが繰り広げられました。
(全2回のうち2回目。前編より続く)
自分の芝居がよかったのかわからなくなって、現場で泣いたことも
――以前、希子さんから、実はコントロールフリークだという話を伺ったことがあります。アートにしても、ファッションにしても、自分のイメージを形にしていくことが好きで、コントロールできないことがあると不安になる、と。でも、レイを演じている希子さんは、役者としてはむしろ憑依型に見えました。演じているとき、コントロールフリークである自分から抜け出せた瞬間があったんでしょうか?
たぶん、あったと思います。まず、レイを演じることで自分がどうにかなってしまいそうな、すごく不安だった自分がいて。コントロールフリークっていうと聞こえはいいけれど、もっといえばただの不安症なんですよ。
自分が役者だなんて思えなかったときは、どんな撮影のときも、「大丈夫ですか?」という確認作業に、しょっちゅう神経をすり減らしていました。「大丈夫ですか? ちゃんと期待に応えられてますか?」ってことが、気になってしょうがないんです。
でも、今回の役はそれこそ「お芝居VS自分」みたいな。お芝居って客観的にならないとできないもののはずなのに、レイに関しては、到底その心情を客観的に分析できなくて……。
まず、「好きな人のために、殺人を犯す」という設定の時点で、私は人を殺したことはないし、周りに人を殺した人も知らない。心情だけじゃなくて、アクション的な部分でも、「これでいいの?」「こういうことなの?」という自問自答で、脳内が押しつぶされそうになりました(苦笑)。そういうときって感情が昂って自分が見えなくなるのか、それとも醒めるのか。どうにでも演じられるわけじゃないですか。レイという七恵のことが大好きなキャラクターには共感するけれども、殺人という行為に対しては流石に共感はできないから、その部分でも、気持ちをどうやって作ったらいいのか……。難しいことだらけでした。
そういう葛藤はすごくあったと思います。撮影が終わった後とか、自分の芝居がそれでよかったのかわからなくなって、現場で泣いちゃったり(笑)。
2021.04.14(水)
文=菊地陽子
撮影=佐藤 亘
スタイリスト=小蔵昌子
ヘアメイク=白石りえ