洗うことで1週間使えて環境にやさしく、リーズナブル
「Airlloマスクは、手洗い、またはアルコール消毒をすることで1週間使えるのも大きな特徴です。1日の終わりに石鹸水で汚れを落として水ですすいで完全に乾かす、あるいはアルコールを表と裏の全体が濡れるまで噴霧して乾かす。この方法でリユースすることができ、1週間使ったら新しいものと交換することを推奨しています。
世界中がコロナ禍にあり、マスクが不可欠な生活となっている今、1日1枚の使い捨てだとしても、環境への負荷は相当なもの。コロナ禍が長引けば長引くほど、リユーザブルなマスクが果たす役割が大きくなっていくのではないでしょうか」(スタン・リー氏)
Airlloの主要顧客は欧米とあって、台湾での知名度は決して高くないが、台湾のアップル社ではAirlloマスクを社員に支給しており、オフィスワーカーからショップスタッフに至るまで、全員がAirlloマスクを着用しているという。常に先端をゆく企業ならではの取り組みといえそうだ。また、2020年末には、フローラルプリントをリリースし、時代感をより意識したラインナップになっている。
“透明マスク”を開発中! 試作品はすでに完成
進化はさらに続く。マスクと共にあるウィズコロナの生活の質の向上のため、元點科技が開発中なのが透明マスクだ。マスク全体を極薄のオーガンジーのような質感で作ることで、花嫁のヴェールのような透け感を実現。透明部分が口元だけではないのが最大の特徴だ。
カラーは、現時点で決定しているのはブラックとホワイトの2色だが、多色展開の予定もあり、試作品はすでに完成しているという。
「開発に至ったのは、コミュニケーションの円滑化が急務だと考えたからです。読唇術で会話をする聴覚障害者の方々にとってはもちろん、医師、アナウンサー、教職者、サービス業……表情がコミュニケーションの重要な鍵となる職業は枚挙にいとまがありません。
また、日常生活においても、マスク越しの会話は、濃色のサングラスをかけたままの会話と同じで、どこか距離感があり、親密になりにくいものです。日本ではテレビ出演者がフェイスシールドや口元だけのマウスシールドを使っていると聞きますが……透明マスクが発売となった暁には、ぜひ活用していただきたいですね」
くだんの“シールド”系は、隙間だらけの無防備さがネックとなっているわけだが、プリーツマスクでも、着用方法によっては、効果が激減しているという。
「そのため、弊社ではフィット感の高い立体マスクのみを発売していますが、プリーツマスクを着用する場合は、鼻と頬の部分に隙間ができないよう、ぴったり密着させる必要がありますね」
確かに、プリーツマスクは、顔の大きさや骨格、耳の位置などでフィット感が大きく変わるため、正しく着用するのが難しい面がある。また、1本目のプリーツまでの距離、プリーツの間隔などで見え方もずいぶん変わる。
さらには、女性にとっては、一般的な幅17.5センチのマスクが大きすぎる場合もあり、プリーツマスクのフォルムについては、改良の余地と伸びしろがまだまだあるという印象だ。
とはいえ、台湾のマスクの先進性を垣間見れば、もはやウレタンマスクの可否を論じているフェーズではないことがわかってもらえるだろう。
台湾では、コロナ禍で着用するマスクが“メディカル”であるのは当たり前。そこが揺らいでは、防疫アイテムとして意味がないからだ。
そのうえで、シュッとした見た目を求めるなら、色柄展開も増加中の立体のメディカルマスクを。ファッション性を求めるなら、色も柄も季節感も選び放題のプリーツタイプのメディカルマスクを着ける。また、呼吸がラク、肌あたりがやさしいなど、着用感の部分でも選択肢は多い。
日本でも、こんなふうに防疫効果のあるマスクの選択肢が多ければ、マスクをめぐる不満やいさかいが減っていくのではないだろうか。日本でも買える台湾製マスクを選択肢に入れ、前向きな気持ちで防疫生活を送ってもらいたいと願う。
2021.02.12(金)
文=堀 由美子