食器洗いも楽しくなる竹の茶碗かご

 長野県・戸隠の竹細工は、地域に自生する根曲竹をとるところから加工、仕上げまでひとりの職人が行うのが特徴。堅牢さと精巧な機能美が光る伝統工芸品です。

 そんな戸隠の竹細工に魅せられた大島さん。

 「家では茶碗かごを使っています。容量も小さいし、長時間湿っていると傷みやすいので、洗った食器の一時置きという感じですが。使い終わったらシンクの上に吊るし、干しておきます。

 正直、便利かと言われると決してそんなことはないのですが。便利かどうかより、作業が楽しくなる。これに尽きます。時間とともに竹の色みも変化してきますし、そういう変化に気づくとちょっとうれしくなったりして。もちろん、貴重なこの技術を残したいという思いもあります」

 大島さんは、洗った食器をここへいったん置き、その後木製の水切りへ移し替えています。

 本来面倒な食器洗いと片付けにわざわざ一行程増やしているなんて。そんなことも厭わず、楽しむことも、お家時間を楽しくするコツかもしれません。

 続いて同じくキッチンから、こちらも「使って楽しくなる」手ぬぐいをご紹介します。

2020.10.09(金)
文=前中葉子(BEAM)
撮影=平松市聖