あの白いのはなんだ?

 そういえば、そもそもなんで豪徳寺は招き猫の町なのだ?

 おじさんは、資料を見る訳でもなく、すらすらとよどみなく、ていねいに説明してくれた。

「彦根藩の二代目藩主、井伊直孝が、ある日鷹狩りに行った帰りに、大変な夕立に見舞われたんです。雨宿り場所を探して困っていたところ、豪徳寺の前で、和尚さんが飼っていた白いネコのタマが、手招きをするように井伊直孝らを呼んだんだそうです。お寺に入り、雨宿りをしていると、ものすごい雷が落ちました。招き入れてくれたタマのおかげで、彼らは落雷を逃れることができたのです」

 招き猫の由来は諸説あるが、このタマが、「豪徳寺の招き猫発祥説」の由来になったといわれている。

 そうだったのか。なるほどなるほど。
 勉強になります。

「では、次は中へ入りましょう」

 おじさんに案内されるまま、三重塔向かいの「招福殿」へと向かう。

 ところでこのおじさんは、何者なのだろう。

招き猫を祀る招福殿

 ふと左側に目をやると……。

? あの白いのは?
!!!!!

 な、なんじゃこりゃー!!!

 (続く)

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梅津有希子 (うめつ ゆきこ)
編集者・ライター。1976年北海道生まれ。ヤマハ勤務の後、FMラジオ局、編集プロダクションなどを経て、2005年に独立。女性誌や単行本、webを中心に、ペット、料理、美容など幅広いジャンルで活動中。「CREA cat」「CREA Dog」を毎号担当するほか、別冊マーガレットの『青空エール』(集英社/河原和音)の監修も務める。著書に『吾輩は看板猫である』『吾輩は看板猫である 東京下町篇』(文藝春秋)、『We are ブサかわねこ』(角川書店)、『終電ごはん』(幻冬舎)がある。
公式サイト:umetsuyukiko.com Twitter:@y_umetsu

Column

梅津有希子の商店街ネコ探訪

大人気のネコフォトブック『吾輩は看板猫である』、そしてその第2弾の『吾輩は看板猫である 東京下町篇』の著者、梅津有希子さんが、看板猫を探して、今度は商店街を巡ります。

2013.02.22(金)