『HiGH&LOW THE RED RAIN』

“最強”と称された 雨宮兄弟の過去が明らかに

 「SWORD地区」の中で最強と称された「雨宮兄弟」が、姿を消した長男・尊龍(斎藤工)のゆくえを追う物語。と同時に、彼らの秘められた過去がヴェールを脱ぐ感動の1作としても爆誕した。

 他シリーズと異なり、登場人物が3人にフォーカスされることもあってか、とにかく彼らの画力が強く印象に残る。

 高身長、イケメン、イケボ、喧嘩も強い雨宮兄弟は……鬼に金棒。

 公開後、演じたTAKAHIRO&登坂広臣は「男性ファンが増えた気がします」とうれしそうに語っていたが、男が惚れる男の姿を体現したので、それもうなずける。

 劇中では、キャラクター像もしっかりと描かれる。

 まず、雅貴と広斗が、両親の命日にお墓参りに訪れるシーンでは、雅貴の茶目っけがさく裂。

 墓地では、尊龍の居所について手掛かりを知る少女と出会う。謎の白装束に襲われそうになった少女を、ふたりは当然、華麗にやっつける(21分)。

 終わった途端、雅貴が少女に向き直り、「どうですか? 格好いいですか?」と白い歯を見せ微笑みかけるサマは、TAKAHIROが演じるからこそ許されるもの。

 品のよさとナルシストな冗談の好バランスに、ニマニマする。

 シリアスなシーンでは、いよいよ尊龍と対面することになる1時間8分からで、怒涛の銃撃戦が幕を開ける。

 広斗を守るように尊龍が前に出て、銃を撃たれながら叫ぶ言葉は、「強く、生きろ!」という名台詞。

 斎藤の渾身の演技、登坂の頬をつたう涙が、感情に揺さぶりをかける。

2020.04.08(水)
文=赤山恭子