「あ~、メクチュ(ビール)飲みたい!」となる魔法の味

 私は残念ながらビールが飲めない。なのでビールではなく、コーラでメクチュの代わりに。しかし、出てきたフライドチキンは、にんにくががっつり効いていて、飲めない私でもビールを飲みたい! と悶える味。しかも味付けしっかりで、脳に味が伝わるとダイレクトに「ビールよこせ」の命令が出てくるようなおいしさだった。コーラでも十分においしいんですけれどね。恐ろしい食べ物だわ、これ!

 揚げの傾向はというと、ザクザクしすぎず、シナシナしているわけでもない、ホンワカサクサクした衣。ここにヤバい味が付けられている。肉は骨なしで、胸肉もしっとり揚げられている出色の揚げっぷり! 深夜なのに油がくたびれていないのもいい。チェーン店だと聞いたが、とても仕事がていねいだ。

最終日に食べた駆け込みチメク。ここはコーラがなくてドクターペッパーで。それもまたオツでした

 さらに素晴らしかったのが、ポテトだ。ポテトは付いていたりいなかったり、お店の差が大きく出るところなのだが、こちらのは薄切りのポテトチップス状。ちゃんと揚げたてで、だからこそ、微妙に1mmくらいの厚さがあるため、ポテトの味がする。ポテトに関してはそうとうソウルでもレベルが高いんじゃないだろうか。バクバクと食べてしまう。持って帰りたいくらいだった。

 その後、帰国する直前にもザクザク系のおいしいチメクを食べたのだが、急ぎで突撃したら、なにをどうしても店名が出てこなくて残念。カロスキル近辺なのだと思うが、衣が立っててこちらもおいしかった。ちなみにポテトはくし型で、ホコホコおいしかった。

 いやはや、MY胃袋さんには余計な負担をかけてしまったけれど、その甲斐があったチメク体験。次はプライベートでもソウルでチメクを楽しみたい! そのときまでに少しビールの練習でもしようかと思ったのでした。

the Frypan
住所 ソウル市江南区新沙洞542-2
電話番号 02-549-0048

北條芽以(ほうじょう めい)
神奈川県鎌倉市生まれ。情報誌編集者を経てフリーライター、ときどき料理本の編纂なども担当。炭水化物と肉を愛し、お酒は意外と飲めない。東京~軽井沢間の新幹線通勤を始めたので終電との戦いが新鮮な毎日。

Column

北條芽以のLOVEレストラン

美味なるLOVEなひと皿を求めてレストランに通う日々。
著者が偏愛する、この季節、このお店のLOVEはいったい何? あなたの次のレストラン選びに参考になること間違いなし!

2012.12.17(月)