クールスのメンバーには内緒で
シャネルズを聴いていた(横山)

横山 原宿は「ピテカントロプス・エレクトス」以外にも明治通りに「モンクベリーズ」というクラブがあって、スカフレイムス(日本のスカバンドの先駆的存在)が出て来たり、いろんな音楽や文化が渾然一体となっていましたね。

光石 古着屋もいっぱいありましたよね。

横山 僕が最初に原宿に来たのも、アメリカから買い付けて余った古着を古着屋に売ってお金にしようと思ったからなんです。

光石 それが高校生のときだったと、横山さんの自伝『クレイジーケンズ マイ・スタンダード』で読みました。

横山 ちょうど定時制の高校に転校した頃ですね。古着を買い取ってくれる店を探しながら歩いていて、青山の「CHOPPER」に入ったんです。そうしたら秀光さん(クールスのドラマー・佐藤秀光)が出てきて、手ぶらじゃ帰れないと櫛とポマードを買って、着ていたシャツにサインしてもらった。

光石 ファッションにしろ、音楽にしろ、今につながるカルチャーがあの頃始まったような気がしますね。

横山 僕もクールスにいながらメンバーには内緒でシャネルズは聴いていたんです。横浜の先輩の山崎廣明さんが第1期のダックテイルズにいて、シャネルズと対バンしていたこともあってね。山崎さんは後にシャネルズに参加、脱退した後に僕と第2期ダックテイルズで活動することになったんです。

光石 今日持ってきたダックテイルズのシングル「真夜中のサリー」は、筒美京平さん作曲の名曲ですよね。

横山 実はディレクターの渡辺忠孝さんのお兄さんが筒美京平さんで、ダメ元で「京平さんに曲を書いてもらえませんか?」ってお願いしたんです。僕が人に曲を書いてもらうのは珍しいんですが、尊敬する京平さんだけは別格で。

光石 これは当時熱心に聴きました。

横山 ありがとうございます。歌詞は森雪之丞さんが横浜のホテルに1泊してイメージを膨らませて書いてくれたんですよ。

光石 僕も横浜には原宿とは違う憧れがありました。実はうちの女房、横浜なんですよ。

横山 ああ、そうですか。

光石 だから、女房もCKBにはシンパシー感じているんです。

2018.09.15(土)
構成=佐野郷子
撮影=鈴木七絵
スタイリング=下山さつき
ヘアメイク=山田久美子