役者として人間力を高めるために

――今後、役者一本でやっていくということでの意気込みをお願いします。

 僕の中でいい役者というのは、自分の芝居でそれを見た人に何かを感じ取らせることのできる人。人を感動させるというのは、そこに東出昌大が映っているのではなくて、その役が作品の中で生きることだと思うんです。だからこそ、そこにドラマが見えるし、感情移入できる。そのために、とにかく芝居のことだけを考えてやっていこうと思います。3年修業が必要というのは、大好きな落語家の古今亭志ん生が弟子の志ん朝に言った言葉なのですが、その間は人間力を高めるという意味でも、いろんな体験をしていきたいと思います。

――では、最後に憧れの俳優がいれば、教えてください。

 魅力やストイックさも含め、アル・パチーノですね。もともと『ゴッドファーザー』や『セルピコ』の彼が好きだったんです。最近『リチャードを探して』(「リチャード三世」の舞台化を追ったドキュメンタリー)を見て、役者になるためにはこんなに勉強しなきゃいけないんだ、と改めて感じることができました。

東出昌大 (ひがしで・まさひろ)
1988年2月1日生まれ。埼玉県出身。187cm・A型。2004年、第19回「メンズノンノ」専属モデルオーディションでグランプリを獲得しデビュー。06年からパリ・コレクションのほか、CMなどでも活躍。本作『桐島、部活やめるってよ』が俳優デビュー作となる。

『桐島、部活やめるってよ』
とある県立高校映画部に所属する前田(神木隆之介)は、クラスの中では地味で目立たないものの、映画に対する情熱が人一倍強い。一方、実力がありながら幽霊部員の野球部・菊池(東出昌大)など、それぞれの日常を過ごすクラスの人気者たち。ある日、バレー部のキャプテン・桐島の退部を機に、各部やクラスの人間関係に動揺が広がり始める。親友だった宏樹は、桐島が部活を辞めたことを知らされなかったことに苛立ちを感じるが、そんな自分に、動揺と焦りにも似た感情を抱えていく……。
www.kirishima-movie.com
(c)2012「桐島」映画部
(c)朝井リョウ/集英社
8月11日(土)、新宿バルト9ほか、全国 ロードショー

Column

厳選「いい男」大図鑑

 映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。

2012.07.20(金)
text:Hibiki Kurei
photographs:Takashi Shimizu