鈴木英人のイラストに模様替え!

【日本盤】ラリー・リー『ロンリー・フリーウェイ』(1982年)

フリーウェイを駈けぬける真紅なキャディ、まぶしい午後の乾いた心…。

気ままにアクセルを踏み、ラジオのボリュームをめいっぱい上げる。
音が流れ、青空にとけ込んでいく。
なぜか淋しげ、ひとりぼっちのフリーウェイ。

 こちらは1970年代中盤に人気を博したオザーク・マウンテン・デアデヴィルズというカントリー・ロック・バンドの中核メンバーによる初のソロ・アルバム。

 まず目に入ってくるのは鮮やかなジャケットのイラストだろう。この差し替えジャケットは、山下達郎『FOR YOU』などのジャケットでもおなじみの、鈴木英人氏によるもの。

【オリジナル盤】Larry Lee“Marooned”(1982年)

 オリジナルのジャケットは、カントリー・ロックのアルバムには合っていそうだが、蓋を開けてみればコテコテのAORサウンドであったため、急遽イメージに合ったジャケットに差し替えることになったそうだ。

 帯のキャッチコピーは、最初からアルバムの内容説明をする気が見られず、差し替えジャケットを見ながら垂れ流したであろうポエムのシャワーが降り注いでおり、イメージ戦略に拍車を掛けている。

 この手のポエムは「フラれた男目線」で書かなければいけない暗黙のルールでも存在したのだろうか……。

 曲や演奏、アレンジだけを取れば、本作よりも優れたアルバムはたくさんあるのだが、代表曲「Don’t Talk」のような、1980年代前半の希望に満ち溢れた底抜けに明るいサウンドを楽しめるという点では、他の追随を許さない作品だと思っている。

2018.01.26(金)
文=福田直木(ブルー・ペパーズ)
撮影=平松市聖