1970年代後半から80年代前半にかけて、洋楽の世界を席巻したムーブメントがAOR。アダルト・オリエンテッド・ロックの略称である。

 この短期集中連載は、AORを21世紀に蘇らせる若き2人組ユニット、ブルー・ペパーズの福田直木が、黄金期AORの日本盤LPの帯に記された文章の濃すぎて深すぎる世界へとご招待。最も素晴らしい帯には、(福田)直木賞を勝手に贈呈いたします!

イメージ戦略が行き過ぎるあまり……

アナログレコードがブームを迎えた近年、LPの帯も再び注目を浴びている。

 AOR──オシャレ、洗練された……。

 カフェやクラブでも重用されるこの手の音楽に、皆さんはきっとそのようなイメージを抱くのではないだろうか。

 しかし、AORが隆盛を極めた当時、1980年前後に発売された海外アーティストの日本盤レコードは、どこか様子がおかしい……。

 それが「帯」である。

 帯とは、キャッチコピーやアルバムの内容説明が刷られた紙のこと。ジャケットの左端の一部分を覆うように巻かれている。中身を確認せずにアルバムの概要が一目で分かる上に、英語では消費者に伝わりにくい情報を明示できる、日本独自の販促ツールだ。

 世界中に帯(Obi)コレクターが存在する反面、開封と同時に破いて処分してしまう人もいる、まるで福神漬けのような立ち位置のアイテムだと思う。

 しかし、当時の小説『なんとなく、クリスタル。』で描かれているような、世間の流行を反映したイメージ戦略が行き過ぎるあまり、本来の帯の存在意義(=販促)を大きく逸脱したキャッチコピーが見られたりするのだ。

 そんなトホホなキャッチコピーの付けられたAORの帯を、毎回テーマごとに数枚ずつ紹介していこうと思う。

 ちなみに筆者はこのような記事を書きつつも、AORというジャンルの音楽を心から愛しているので、読者の方にとってこの連載がAORに興味を持つキッカケになれば幸いだ。

2017.12.05(火)
文=福田直木(ブルー・ペパーズ)
撮影=平松市聖