時代を象徴する名盤の帯もまた……
ドナルド・フェイゲンの魔法を信じますか?
エレガントに煌めくシティ・エッセンス、やがて貴方は魅力の虜に…
「さすがにこの名盤にはスタイリッシュなキャッチコピーが付いていてほしい」と願っていたが、神は容赦しない。
スティーリー・ダンの頭脳、ドナルド・フェイゲンが1982年に発表した時代を代表する名盤も、この有様だ。
魔法を信じるかどうかは置いておくとして、「エレガントに煌めくシティ・エッセンス」というワードからは、具体的なイメージが何も湧いて来ない。
帯本来の役目を果たしているかと言われると、これは失格同然だろう。
ただ、未だにサウンド・チェックによく用いられるほど音が良く、多くの人がフェイバリットに挙げる不朽の名作であるから、「やがて貴方は魅力の虜に」なることは間違いない。
長年の相方ウォルター・ベッカーの死去や、その直後の「Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN 2017」の開催中止など、今年はスティーリー・ダン関連の悲しいニュースが多かったが、また元気になったドナルド・フェイゲンの姿を、日本のファンにも見せてくれたらと思う。
それまでは、このアルバムを聴き続けて、いつまでも待つとしよう。
福田直木(ふくだ なおき)
1992年生まれ。東京都出身。AORやフュージョンを中心に聴き漁る音楽好き。学生時代にはピアノとドラムを習っていたがあまり長続きせず、DTMに熱中したことで作曲に目覚める。自身の所属する音楽ユニット、ブルー・ペパーズでは作編曲やボーカルなどを担当。趣味はカレー屋巡りとレコードの帯の蒐集。千葉ロッテファン。
Twitter https://twitter.com/danaoki0917
ブルー・ペパーズ
東京都在住の福田直木と井上薫による音楽ユニット。大学生時代の2015年に発表した『ブルー・ペパーズ EP』でデビュー。他アーティストへの楽曲提供などを経て、2017年11月に1stフルアルバム『RETROACTIVE』をリリース。AOR、ジャズ、フュージョン、ラテンなど様々なジャンルを追究し、それらのエッセンスを盛り込みつつも「聴きやすいポップス音楽」というフォーマットに落とし込むバランス感覚を大切にしている。
公式サイト http://bluepeppers.tokyo/
ブルー・ペパーズ『RETROACTIVE』
待望の1stフルアルバムには、これまでの作品でもおなじみのヴォーカル・佐々木詩織に加え、ドラムスの佐野康夫、キーボードの森俊之などベテラン勢も参加。彼らが南波志帆に提供した「コバルトブルー」のセルフカヴァーでは、ヴォーカルに星野みちるをフィーチャー。「ずっと」「秋風のリグレット」「6月の夢」など、既発表曲のアルバムヴァージョンも収録。
VIVID SOUND 発売中
2,500円(税抜)
ブルー・ペパーズ福田直木の
ダサすぎてむしろカッコいいAOR日本盤の帯
2017.12.05(火)
文=福田直木(ブルー・ペパーズ)
撮影=平松市聖
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