vol.01 みますや

明治38年創業のクラシックな店構え

 ファースト・アルバム『I am ONLY』が好評を集めている注目のフィメール・シンガー、脇田もなり。お酒が大好き! だけど酒場ビギナーな彼女が東京近郊の名店を探訪しながら、立派な酒呑みレディへの階段を昇っていく新連載「名酒場 IN THE CITY」スタート!

知る人ぞ知る“飲みカワ”女性シンガー、脇田もなり。現在22歳、好きなお酒はハイボール。

 記念すべき第1回に訪れたのは、千代田区・神田司町。江戸時代は職人・町人が多く住み、明治以降は近隣に学校が多く設立されたこともあり、印刷や製本の工場が軒を連ねていたという。現在は大手企業の本社などがある傍ら、昔ながらの街並みも色濃く残すエリア。

 長崎の五島列島出身で、長く大阪で暮らしていたもなりさん。昨年東京に拠点を移したばかりということもあって、神田のあたりにはほとんど来る機会がなかったのだそう。

みますやは、現存する酒場としては都内最古の建物とも言われる。

 「神田が、東京のどこらへんにあるのかもまだわかってないんですけど……」という彼女と一緒にやってきたのは、明治38年(1905年)創業の「みますや」。

 黒く煤けた建物の軒先には赤提灯が下がる、これぞ究極の居酒屋といった風情のお店。早速、縄のれんをくぐってみましょう。

引き戸を開けるとすぐに小上がり席と大きなテーブル席が。奥にも座敷席があり、意外と広い。

 「わぁ~、なんか五島列島のおばあちゃんの家を思い出しちゃう」と思わず素朴な感想が漏れてしまうほどに年季を感じさせる店内。入ってすぐの大きなテーブルに陣取って、壁にずらりと掛けられたお品書きを眺めながら、今日は何から攻めようかじっくり考えます。

白い筆文字も美しい、年季の入ったお品書き。

 もなりさん、最初に注文したのは古くからの定番料理「肉豆腐」と「燗酒」という、いきなり渋い組み合わせ。

2017.09.01(金)
文=宮内 健
撮影=石川啓次