vol.28 地方イタリアン(1)
都心の店では出会えない
魅力的料理を味わいに出かけよう
今地方で面白いレストランは、イタリア料理店である。
江別「リストランテ薫」、札幌「サグラ」、函館「コルツ」、弘前「オステリア エノテカ ダ サスィーノ」、八戸「カーサ・デル・チーボ」、鶴岡「アル・ケッチァーノ」、小田原「イルマーレ」、富山「ひまわり食堂」、小浜「ラヴェリタ」、京都「チェンチ」、奈良「リストランテ イ・ルンガ」、和歌山「ヴィラ・アイーダ」、岡山「アッカ」、鹿児島「カイノヤ」と、都心の店では出会えない魅力的な料理に出会える店が増えている。
今回から数回にわたって、そんな日本全国の、わざわざその店に行くために旅する価値のある店を紹介したい。
第1回は小浜「ラヴェリタ」である。この店は面白いことに、チーズ工房が併設されている。杉崎由浩シェフ自らがチーズを作り、そのチーズと地元の食材を使って料理を提供する。
きっかけは、生まれ育った小浜の個性ある牛からチーズを作って世に出し、小浜の酪農家たちの未来を変えることができればと考えたことだという。
レストランは基本一晩1組。ある夜のディナーはこうである。
(1)「イチジクとph値を下げてストラッキーノのように作った自家製リコッタに、ビスケッタ」
自家製リコッタの綺麗な味わいに、ほの甘い香りにイチジクが抱き合う。
(2)「里芋と人参の葉と、間伐材で燻した自家製スカルモッツァ・アフミカータのコロッケ」
どこまでもきめ細やかな里芋は、自家製スカルモッツァを抱き込んで、心を温める。
(3)「山本さんのトマトと自家製モッツァレッラ」
作り立てモッツァレッラのクリーミーな食感と甘い香りにトマトの甘みが出会う幸せ。
(4)「ツバスのカマとパン粉のパスタ」
ツバスのカマは、清らかな脂の味をパスタに忍ばせて、フォークを持つ手を止まらせない。
2017.12.21(木)
文・撮影=マッキー牧元