キプロス博物館で
古に思いを馳せる
旧市街を囲む城壁の西側にある「キプロス博物館」は、キプロス最大の博物館だ。20世紀初頭のイギリス植民地時代に建てられ、その後も展示品が追加されてきた。
紀元前7000年頃の新石器時代のものから、7世紀のビザンティン時代前期のものまで、キプロスの約1万年もの長い歴史を物語る貴重なコレクションが展示されている。
地中海東端の海上交通の要衝に位置するキプロスは、様々な国々に支配された歴史のなかで、東西の文化の影響を受けてきた。キプロス各地の貴重な出土品は国外に流出したものも多いが、この博物館では壺、アクセサリー、彫刻、コイン、青銅製品などが、時代ごとに展示されている。
右:古代ギリシャの陶器コレクションも充実している。
小さな展示ながら、紀元前3000年頃の遺跡から発掘されたポモスの偶像は、キプロスの硬貨の図柄にもなっている貴重な展示品。両腕を広げた女性を模していて、豊饒や多産を願ったと言われている。パフォスで催された「欧州文化首都」のオープニングセレモニーでもステージ後方に巨大なポモスの偶像が演出されていた。
紀元前12~11世紀に作られたテラコッタ(素焼き)の武人像がずらりと並ぶ展示室はかなりの迫力。今から3000年以上前に、地中海の島国キプロスにこのような文化があったことは驚かされる。
右:煌びやかなアクセサリーは、華やかに着飾った古代の人々を彷彿とさせる。紀元前からビザンティン時代初期までのもの。新石器時代のものもある。
展示室の中央に子供用の休憩スペースが設けられていることにもびっくり。しかも顔ハメまで(笑)! ニコシアに滞在したらぜひ立ち寄りたい博物館だ。
Cyprus Museum(キプロス博物館)
所在地 1 Mouseiou Str., Nicosia
電話番号 22-303112
http://www.mcw.gov.cy/mcw/da/da.nsf/All/67084F17382CF201C2257199001FE4AD?OpenDocument
2017.09.16(土)
文・撮影=たかせ藍沙