キプロス島は、地中海の東端に浮かぶ小さな島。世界遺産に登録された街パフォス、境界線で分断された首都ニコシア、民芸品で知られるレフカラなど、見どころがいっぱい。このキプロスを、たかせ藍沙さんがレポートします。
第3回は、アフロディテが生まれた海岸と古代のクリオン遺跡を訪れます。
アフロディテが生まれた海岸は
とびきり美しかった
パフォスとレメソス(英語ではリマソル)の間、パフォスから約25キロの場所に、ペトラ・トゥ・ロミウ海岸がある。
ここは、愛と美の女神アフロディテ(ビーナス)が生まれたとされる場所。ギリシャ神話によると、波の泡から生まれたアフロディテはこの海岸にある岩に腰掛けたのだという。
まずは、海岸の近くにある見晴らし台へ。海岸線を一望することができる。ひときわ鮮やかな海のブルーは、今にもヴィーナスが現れそうな美しさだ。
ペトラ・トゥ・ロミウ海岸は、見晴らし台から見える白砂のビーチではなく、その先の石浜だ。
右:トンネルの先にあかりがみえてきた。
「ペトラ・トゥ・ロミウ」とは、ギリシャ語で「ギリシャの岩」という意味。もうひとつの伝説では、ビザンティン時代の英雄ディゲニス・アクリタスが、その怪力で巨大な岩を海に投げ入れたとされる。キプロスに攻め入ってきたアラブ人を撃退するためだったという。ちなみに、アフロディテが腰掛けていたとされるのは左側の小さいほうの岩。
右:これ、ハート型に見えるだろうか(笑)。
海岸は砂浜ではなく、波で洗われた玉砂利の石浜。かつて、ここでハートの形の石を見つけたら恋が叶うと言われ、観光客がこぞって石を持ち帰ってしまう事態が起きたのだとか。
今ではハート型の石を見つけることは困難。駐車場脇の土産物店で売っているハート型のペンダントを買うと、もしかしたらご利益があるかもしれない。保証はできないけれど(笑)。
2017.09.27(水)
文・撮影=たかせ藍沙