海を一望する湯に浸かり
英国風に見立てた伊東の幸を満喫

御影石の内風呂に身を沈めると、海がそこまで続いているよう。

 「星野リゾート 界 アンジン」では、入浴も食事もゆっくり時間をとって満喫したい。

一方の露天は岩風呂。

 海を一望する大浴場は、昼の青く広がる海もよいが、海から昇る朝日や、満月に海が照らされるムーンロードも素晴らしい。露天風呂は、潮風を感じる岩風呂だ。

湯上がりにサーバーから注いだクリーミーな泡のビールはたまりません。

 夕方の湯上がり処では、サーバーから生ビールを自由に注ぐことができる。展望デッキ「サンブエナデッキ」で、まるで甲板にいるような気分で格別の一杯を楽しみたい。

古本や色ガラスなど個性的なパーティションが並ぶお食事処。こちらの宿のインテリアデザイン・設計は杉本貴志氏率いる「スーパーポテト」が手がけている。

 食事処は、それぞれに意匠が異なるパーティションが個性的だ。

左:豪華さに目を見張る八寸とお造り。お造りは季節の魚介に藻塩や納豆醤油で仕上げた界 アンジン流。
右:金目鯛とあさりの紙包み焼きの蓋は、パイ生地なのでそのまま食べられる。

 夕食は、三浦按針の出身地である英国にならい、先付としては和のフィッシュアンドチップスが登場。アフタヌーンティーのサーバーに見立てた木の器で供される八寸とお造りは、伊東の幸が並ぶ。伊東名物の金目鯛とあさりは、パイ生地で紙包みに。お出汁に旨みがぎゅっとつまっている。

スタッフが弁士を務める“青い目のサムライ紀行”は、歴史が分かりやすくまとまっていて面白い。

 食後にはロビーで、その土地の特長的な文化を楽しむ“ご当地楽”として、“青い目のサムライ紀行”と題し、英国から日本に流れ着いた三浦按針の数奇な一生が語られる。会場では、英国の柑橘系のリキュール“ピムス”を使ったパンチのサービスも。

 ご当地楽後の20~23時には、英国のスピリッツなど数種類のアルコールが出るので、落ち着いたトラベルライブラリーで一杯ナイトキャップを楽しむのもよいだろう。

左:ご当地楽でサービスされるピムスのパンチ。
右:ナイトラウンジのスピリッツ。

 夜の伊東の海を眺めながら、明日は、城ヶ崎海岸、小室山に大室山と伊東の自然を満喫しつつ、もう一軒の界、「星野リゾート 界 伊東」を訪れることにする。

潮風が心地よい夜の展望デッキで、伊東の歴史に思いを馳せる。

星野リゾート 界 アンジン
所在地 静岡県伊東市渚町5-12
電話番号 0570-073-011(界予約センター)
http://kai-ryokan.jp/anjin/

小野アムスデン道子 (おの アムスデン みちこ)
ロンリープラネット日本語版の立ち上げより編集に携わったことから、ローカルグルメや非日常の体験などこだわりのある旅の楽しみ方を発信するトラベル・ ジャーナリストへ。エアライン機内誌、新聞、ウェブサイトなどへの寄稿や旅番組のコメンテーター、講演などを通して、次なる旅先の提案をしている。
Twitter https://twitter.com/ono_travel

Column

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2017.08.26(土)
文=小野アムスデン道子
撮影=平松市聖