人となりで選んだメンバーと
バンド結成

――そんななか、中学の同級生でもある「ミセス」ギター担当の若井滉斗さんとの出会いについて教えてください。

 若井はサッカー部でキラキラしていたし、ストイックに音楽をやっている自分にとって、どこか苦手なタイプだったんです(笑)。そんな若井がギターを始めて、「一緒にスタジオでも入ろうよ」とか向こうから猛プッシュをしてきたんです。その友達感覚みたいなものに、さらに拒絶反応を示していました(笑)。でも、修学旅行のときに同じ班になって、当時流行っていたスーザン・ボイルの話題を機に、意気投合してしまいました。自分の中で、ちょうどブラッシュアップの一環として、もう一回バンドを組んでみたいと思っていたこともあり、一緒にスタジオに入って音を合わせてみたら、小6のときの初期衝動みたいなものがよみがえったんです。それでプロとして音楽を一人でやるのと、友だちとバンドをやるのを分けて考えてみるのもいいかなと思えるようになりました。

――その後、13年に「ミセス」を結成するにあたってのバンド編成について。また、年上である山中綾華さん(ドラムス)、藤澤涼架さん(キーボード)、髙野清宗さん(ベース)をメンバーに誘った理由を教えてください。

 プロとしてバンドをやっていくにあたり、メンバーは5人で、男のコだけじゃないというイメージが心のどこかでありました。それに「自分と同い年で、熱量やモチベーションが同じ子なんて絶対にいない!」とまで考えていたので、年齢もバラバラがいいと思っていました。女のコのドラムに関しては、どこか繊細で、転がすように叩くイメージがあって、面白そうだと思っていたら、同じ事務所に山中がいたんです。藤澤も、もともと事務所に所属していたんですが、僕は2人とも演奏を見ずに誘っているんです。楽器云々じゃなく、人として一緒にやっていきたいと思わせる、話した感じのエネルギーですかね。髙野は前任が抜けたタイミングでのオーディションでしたが、社会人経験があって、価値観や背負ってるものが違う人としての目線だったり、人となりが大きかったです。でもいちばんの理由は、4人になった「ミセス」の最後のピースになって、ちゃんとバランスが取れる人だったということでしょうか。

2017.08.18(金)
文=くれい響
撮影=佐藤 亘