【WOMAN】
欲望に振り回されることを恐れる
地味女子たちの性の目覚め
小説の中ではきわどい恋愛や官能を堪能するも、リアルではまるで奥手で地味な和紗たち5人。ある日、文芸部の部会で「死ぬまでにしたいこと」を話し合う。美人なのになぜか文芸部員という新菜が、したいことリストに「セックス」を挙げ、部をざわめかせることに。中でも和紗の混迷ぶりはすさまじく、たたきキュウリにも、太宰治の小説タイトルにも、妄想全開。
そんな和紗の隣には、幼なじみの泉が住んでいる。泉は学校ではモテ男なのに、女子たちの熱い視線には気づかない鈍感系。そうした場面に遭遇しつつも、和紗の中では泉はまだ子どもで、性に目覚めるなんて先の話だと思い込んでいたのだが……。過日、和紗が、泉の家である出来事を目撃したことから、世界は一変!
〈性にふりまわされたくない〉と思いつつ、泉への思いや性への関心は高まるばかり。性を意識するきっかけが幼なじみというシチュエーション……なんかエロいんですけど。
『荒ぶる季節の乙女どもよ。』(既刊1巻) 漫画:絵本奈央/原作:岡田麿里
堅物の文芸部長り香、ミステリアスな作家志望のひと葉、特徴のなさを自認するほんわか百々子、あるひとことで部に波紋を呼んだ新菜、性に振り回されたくないと願う和紗、文芸部員5人それぞれのヰタ・セクスアリス。セックスの別称を一生懸命考えたりするのも可愛い。
講談社 429円
Column
男と女のマンガ道
男と女の間には、深くて暗い川のごとき断絶が横たわる。その距離を埋めるための最高のツールが、実はマンガ。話題のマンガを読んで、互いを理解しよう!
2017.08.06(日)
文=三浦天紗子