『仁義なき男たち』の俳優陣が再集結した豪華CM

左:何かつらいことがあったら、梅宮辰夫の『不良番長』シリーズを観てほしい(特に後期)。ちっぽけな悩みなど吹き飛んでしまうはずだ。
右:松方弘樹をうっかり“部長”と呼んでしまうあなたは少なくとも20代ではない。

 梅宮辰夫、松方弘樹、千葉真一、北大路欣也、そして山城新伍。

 あの『仁義なき戦い』シリーズを彩った、押しも押されもせぬメインキャストである。豪華だ。そんな6人の仲良しが、1990年、とあるCMで一堂に会した。

 それが、原ヘルス工業なる会社が販売していた家庭用超音波発生器「バブルスター」のコマーシャルである。

左:千葉真一の息子は真剣佑。「歯槽膿漏に負っけんゆー」という歯磨き粉のCMに出てほしい。
右:北大路欣也が実際に「くら寿司」のカウンターに座っていたら間違いなく驚く。

 この錚々たる俳優陣が、バスタオルを腰に巻いただけの半裸で、ひとりずつバブルスターの素晴らしさを力説する。フジテレビの「FNNスーパータイム」の番組中によく目にした記憶がある。

 だが、夢のような効果があると謳っていたこの装置は、ただ単に何の変哲もない泡が発生するだけ――農業用ポンプを流用したという――で、健康増進にはまったくもって役立たないことが発覚。薬事法違反で業務停止処分を受けてしまった……。

 松方弘樹自身が綴ったブログによると、彼らがこのCMに出ることになった経緯が面白い。

 上記の5人に渡瀬恒彦を加えた6人が、「トムソーヤ企画」なるプロジェクトをスタート。映画製作を進めるも、ホテルを利用した打ち合わせの段階で700万円を費消。これだけの大物揃いだけに、それぞれのお付きのスタッフに当てがった控室の部屋代やルームサービス代などが積み重なり、こんな額面になってしまったのだという。

2004年、『仁義なき戦い』のフィギュアが発売された際の記者会見で、各々が演じたキャラクターの商品を持って相好を崩す松方弘樹と梅宮辰夫。何でこんなにうれしそうなのか知りたいあなたは、今すぐ『仁義なき戦い』を見よう!

2016.08.26(金)
文・撮影=ヤング
写真=文藝春秋