いざ百貨店に行くと「着たい服」がない
そしてチャレンジ達成100日~半年までのおよそ3カ月の間に、また自分の気持ちの変化がいろいろありました。
(1) 欲しい服が無くなった(かも)
現在開催中の展覧会『ブータン しあわせに生きるためのヒント』ではアートディレクターを担当しています。その開会式用の衣装を買いに行った時に、自分でも気がつかなかった大きな変化を知ることができました。
久しぶりに洋服を買うということで、ウキウキとお出かけ。でも、いざ百貨店に行くと「着たい服」がないのです。以前は、欲しい服だらけだったのに!
頭の中で、それを着るシチュエーションを明確にし、服のイメージをしっかり思い描いていたから、洋服を見る目が厳しくなっていたのでした。
以前は、「新しい服が欲しいな」「似合うのないかな」ぐらいの感じで選んでいたんですよね。
だからこれからも「いま私に必要な服ってなんだろう」「本当にこれが好き?」って自分に問いかければ、失敗も衝動買いもなくなるかもなあと考えています。
『ブータン しあわせに生きるためのヒント』
会場 上野の森美術館(東京・上野)
会期 開催中~2016年7月18日(月・祝)
URL http://www.fujitv.co.jp/events/bhutan/
(2) 洋服の展示会に行っても心穏やかにいられる
いままで展示会に行くと必ずいくつかの洋服を予約してしまいました。だから、絶対買ってしまいそう! と思って避けていたのですが、大丈夫でした。
そこに並ぶのは、もちろんすごく好みの洋服ばかりですが、「買わないことで自分のファッションへの気持ちがどう変わるか」が楽しみなので、すてきな洋服を見ても「いまは買う時期じゃないな」って冷静になれます。
(3) 敗者復活もあり
モノは減らしたいけど、やみくもに処分するのもどうなのかなあと思う事が何度かありました。
色やデザインが好きだけど、どこかに欠点がある靴や洋服。
それらのあきらめがつかないモノを入れるために作っているのが「処分に迷う箱」。
いままでは、半年もすると結局全部処分してしまっていました。また買えばいいやっていう気持ちも強かったんですよね。だけど、今は新しい洋服を買えない分、持っているモノをじっくりとみるようになったのです。
そうして箱から出してみると、サイズがきついと思っていたパンツは、骨盤トレーニングのおかげでジャストサイズになり、デザインがかわいいけどヒールが高すぎて長時間履けないサンダルは衣装の差し色にぴったり。周りにもとても褒められました。
これからは、処分のタイミングも大事だなあと思います。
さて、これからさらにどんな気持ちの変化もあるのでしょうか。そんな毎日の様子は、ブログ「洋服を一年間買わないと決めました♪」(外部サイト)で日々更新中です。ぜひあたたかく見守ってください。
松尾たいこ(まつお・たいこ)
アーティスト/イラストレーター。広島県呉市生まれ。1995年、11年間勤めた地元の自動車会社を辞め32歳で上京。セツ・モードセミナーに入学、1998年からイラストレーターに転身。これまで300冊近い本の表紙イラストを担当。著作に、江國香織との共著『ふりむく』、角田光代との共著『Presents』『なくしたものたちの国』など。2013年には初エッセイ『東京おとな日和』を出し、ファッションやインテリア、そのライフスタイル全般にファンが広がる。2014年からは福井にて「千年陶画」プロジェクトスタート。現在、東京・軽井沢・福井の三拠点生活中。夫はジャーナリストの佐々木俊尚。公式サイト http://taikomatsuo.jimdo.com/
Column
松尾たいこの三拠点ミニマルライフ
一カ月に三都市を移動、旅するように暮らすイラストレーターの松尾たいこさんがマルチハビテーション(多拠点生活)の楽しみをつづります。
2016.06.25(土)
文・撮影=松尾たいこ