パリとブリュッセルで起きたテロの影響は?

コートダジュールの青い海に似つかわしくない、フランス海軍の巡視艇。

 カンヌよいとこ、一度はおいで。

 てなわけで、13度目のカンヌに行ってきた。2016年5月11日から22日まで行われた第69回カンヌ国際映画祭。もうね、おカンヌはミーの実家ザンス、って鼻歌が出ちゃうくらい通い続けているマダムだが、華やかながらも今年のカンヌは雰囲気が少し違っていた。パリ、ブリュッセルで起きた大規模テロの影響で、非常に厳重な警戒態勢がしかれていたのだ。

 映画祭開幕前日の5月10日、空からの玄関口であるニース・コートダジュール空港に降り立つと、迷彩服を着たフランス軍兵士が小銃を携えて巡回していた。海外では珍しいことではないが、やはり浮かれ気分が引き締まる。

 さらにメイン会場のパレ・デ・フェスティバルに入り、プレスパスをもらったとたんに警報と「すぐに会場を出てください」のアナウンスが。あわてて外へ飛び出した。会場係員たちが落ちついていたので、避難訓練だったようなのだが、それでも緊張する。

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 さらに驚いたのは、レッドカーペットの目の前の海に、豪華客船やクルーザーに交じって、フランス海軍の巡視艇が浮かんでいたこと。ちょっとかわいいジョーズ風の顔が描かれているのが、フランスらしいが。

 パレの中に入るのは以前から警備が厳しかったのだが、今年はさらにチェックが厳しくなり、空港のようにバッグの中身を調べ、チョコレートや水も取り上げられたりする。でもこれが、担当者によって基準が違うあたり、やはりカンヌって感じだ。厳戒態勢とはいえ、どこかのんびりしているという。

 それでもテロを警戒して、プレスの数も心なしか少ない。というか、中華系作品がメイン部門になかったので、中国メディアの数が去年より減ったことの影響の方が大きかったかもしれない。

会見場入り口で記者にサインをするジョージ・クルーニー。カンヌの記者たちはミーハー。

2016.06.17(金)
文・撮影=石津文子