東京・品川区、天王洲アイルのWHAT MUSEUM(運営:寺田倉庫)で開催された「Reborn-いのちを織りなすアーティストたち-」展に立ち会う、永沢碧衣さん。写真左の作品『解ける者』は、展覧会のキービジュアルにも選ばれた。 『解ける者』(2021)……狩猟免許を取得後、地元の猟友会に所属し、初めての有害鳥獣駆除業務で熊を解体した際の経験をもとに描いた作品。狩猟を始めるきっかけとなった阿仁マタギの地域にある安の滝や、県南の森林をはじめとする猟場。熊が生きる四季折々の山々が、解体されていく熊の身体と重なって見えた。 『流転』(2023)……猟友会で捕らえた熊は源流域まで運ばれ、血を洗い流され、解体される。つい先ほどまで熊だった温かな血潮は、冷たい水底へと消えていった。この数多の山の命を含んだ水を、最初に喰らうのは、源流に潜む岩魚(いわな)たちではないだろうか。熊や人をも飲み込む大いなる流れの中で、解かれた山の衣は姿を変え、また別の器、別の生へと受け継がれていく。 『共鳴』(2023)……2023年、山全体の実りが大凶作となり、食糧難に追い込まれた熊たちは危険を冒してまで人里へ侵入し、畑や民家に出没する事例が相次いだ。さらに豪雨災害が重なり、森林の許容量を超えた雨水は濁流となって川や里を飲み込んでいった。それまでの日常を失い、追われていく熊や人々。その視線の先にあるものを追い求めながら描いた作品。 筆者が、永沢碧衣さんと出会ったのは、2017年10月のこと。横手市増田にある、麹屋が営む食事処「旬菜みそ茶屋くらを」で、店主の鈴木百合子さんや「横手経済新聞」(当時)の椿谷仁志さんと雑談していたところ、「いま横手市には、とてもすごい子がいるから紹介したい」と言われ、会うことに。当時は、上小阿仁村でのフィールドワークや、実家にあるアトリエでの制作の様子を撮影させてもらった。 「VOCA賞」を受賞した作品『山衣(やまごろも)をほどく』(2022)。 今年、制作された『淵の声』(2025)。 筆者が出会ってからおよそ8年、永沢碧衣さんを取り巻く環境はずいぶんと変わったが、永沢さんの芯にあるものは、いまも変わらない。 穏やかで、とても話しやすい気さくな永沢さん。個人への作品の制作も行なっているようなので、興味がある方は、問い合わせてみてはいかがでしょうか。 永沢碧衣さん。 永沢碧衣さん。
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