大胆にもゴシック&ロリータを採り入れた雛人形「Gothic(ゴシック)」。 節句人形工芸士、後藤由香子さん。 妖精の世界を描いたナチュラルな色合いの雛人形「森のウエディング」。 後藤由香子さんの美意識が淡い色合いに表れている。 「妖精~Mimosa~」。 敬愛するエミール・ガレに捧げる気持ちで和紙でステンドグラスを表現した「エミールの庭」。 雪景色の美しさを表現した「Snow Bird」。 入院中の後藤由香子さん。 「後藤人形」の専務であり、フォトグラファーである夫の後藤通昭さん。 「ひな祭りを見直すためには、自分自身が人形づくりをしなければならない」と考え、修業を始めた。 分業体制で製造される雛人形だが、サンプルはほとんどの部分を自分で作った。 1作目「夜明けのシンフォニー」は物議をかもした。 友禅職人がやるような挿し染めも自分でやった。 「ふちを黒くする」というアイデアは「縁起が悪い」と職人さんたちから製造を拒否された。 色彩に対するこだわりは強く、着物の生地を重ねる順番を考えるだけで1日を費やした。 焼き物の質感を採り入れた「織部」がイタリア、フィレンツェの世界遺産「ヴェッキオ宮殿」に展示され、由香子さんへの評価が高まった。 由香子さんは「商業ベースに乗らないかもしれないが、自分たちの子どもを育てる気持ちで雛人形を作ってみたい」と語った。そんな気持ちのなかで誕生したのが「Gothic」。 黒地にさまざまな色の糸を這わせ、豊かな色合いを生みだしている。茶髪である点も斬新だ。 由香子さんが遺した雛人形の着物を十二単ふうのドレスに再現するプロジェクトが進んでいる。