「超格差社会」に生きる韓国の観客が共感したこと

 映画のテーマである歌舞伎は韓国の観客にとっては馴染みのない文化だが、主人公の俊介と喜久雄が見せてくれた「血筋」と「才能」の対決構図は、韓国人にも見慣れた「金のスプーン」と「土のスプーン」の対決として映っているようだ。

 歌舞伎の名門家の「血筋」を受け継いだ俊介は、韓国で言えば親から財力や社会的地位を受け継いだ「金のスプーン」の象徴的な人物、才能だけで歌舞伎界で道を切り拓いていった喜久雄は親の恩恵を一切受けない「土のスプーン」の象徴的な人物であるわけだ。

「芸術の世界さえも才能だけで勝負するところではなかったんだな!」「血筋がそんなに重要なのか……」「運命はあらかじめ決まっているのか? 悲しい話だ!」「才能が優れていても血筋はどうしようもない状況が少し苦々しかった」「金のスプーンが糖尿で夭折しなかったら、土のスプーンは絶対に国宝にはならなかった……世襲に勝つ才能は存在できないのが日本だ……」

 ネット上では、「血筋」と「才能」についての感想が数多く語られている。

 人生と芸術、美しさと虚しさ、挑戦と挫折、嫉妬と友情……日本の伝統文化・歌舞伎を題材として普遍的な情緒を見事に描き出した映画『国宝』は、歌舞伎に馴染みの薄い多くの韓国の観客にとっても「人生の映画」として記憶されることになったのだ。