「この年齢で失うものなんて何もありません」

――日本では『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』が大ヒットし、香港映画が再び注目を集めているのですが、香港の映画界は実は不景気だと聞いています。それでも俳優という仕事を続けたいと思える、この仕事のやりがいは?

パトラ さまざまな方々とお会いする機会をいただけることですね。『これからの私たち』が公開されてから、世界中のさまざまな場所に赴き、時にはレイや仲間たちと共に、時には単独で、映画祭にも参加してきました。

 これまで考えたこともないような状況や想定外の質問に遭遇するたび、自分が持ち得るウィットを総動員して、相手を不快にさせない答えをお返ししたり、デリケートなトピックに柔軟に答えたりする姿勢が求められるのです。

 たとえば、ベテラン女優のセカンドキャリアについて、「あなたと同じ道を歩みたい人にアドバイスを」と請われた時には、こう答えました。「リスクを取る覚悟が必要よ。失敗を恐れてはいけません」と。

 この年齢で失うものなんて何もありません。30代や40代のように、一歩間違えれば全てを失うような事態にはならない。残りの時間を自由に、少しの遊び心を持って過ごすことができます。いろんなことに挑戦して、そのプロセスを楽しみましょう。ただし、真剣に楽しむこと。今は、そんな気持ちで仕事にも向き合っています。

『これからの私たち - All Shall Be Well』

監督・脚本:レイ・ヨン(楊曜愷)/出演:パトラ・アウ(區嘉雯)、マギー・リー(李琳琳)/タイポー(太保)、ホイ・ソウイン(許素瑩)、フィッシュ・リウ(廖子妤)/2024年/香港/93分/原題:從今以後 / 英題:All Shall Be Well/配給:Foggy/©2023 Mise_en_Scene_filmproduction/公開中