映画初出演で“香港のアカデミー賞”受賞
――舞台ではベテランのあなたですが、映画の世界では慣れないことも多かったと思います。『ソク・ソク』で映画に始めて挑戦した時、プライドが邪魔をするようなことはなかったですか?
パトラ むしろワクワクしました。確かに私は今年で73歳になりますが、新しいものが好きで、新しいことに挑戦するのが好き。初心者だと言われても全く気にしません。何かを始めなきゃ、何かを学ばなきゃ、という気持ちのほうが先に来ますね。
――『ソク・ソク』の演技で、映画初出演ながら香港のアカデミー賞と言われる香港金像奨の最優秀助演女優賞を受賞。その後、『星くずの片隅で』『白日青春 生きてこそ』(共に2022)といった市井の人々に目を向けた良作から、『カウントダウン』(2024)といったディザスター大作まで、話題作に立て続けに出演されています。
そして再び縁の深いヨン監督から、今度は『これからの私たち』の主演をオファーされたわけですが、出演を決めた理由は?
パトラ まず、レイは人としても監督としても、非常に好感の持てる方だからです。
『ソク・ソク』のあと、他の監督とも仕事をする機会がありましたが、中には俳優に何を求めているのか、どのようなキャラクターなのか、そしてその感情の変遷について明確にしてくださらない方もいらっしゃいました。
私のように長年舞台で訓練を受けた俳優にとっては、それでは物足りないのです。当時、私はもう教員を定年退職していたので、ただ役を演じるだけではなく、さらに年をとってできなくなる前に、頭や声や全身全霊を使って、もっと頑張って俳優業に取り組みたいと思っていたところでした。










